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シルヴィ・ギエム 最後のボレロ Bプロ

21日@東京文化会館

Bプロの演目は『テーマとヴァリエーション』『Push』『春の祭典』『ボレロ』。結構濃いプログラムです。

『テーマ〜』はバランシンの代表作の一つ。いかに音楽を感じさせるかが重要なんだけど、それが難しい。真ん中を踊った吉岡さんと木村さんはさすがにその辺はしっかり抑えていた。特に吉岡さんはキラキラ輝いていたな〜。でも後ろの群舞は音楽に乗りきれていなかった。後追いになっていてバラバラ。うーん、バランシン作品ってやっぱり難しいんだね。

『Push』はギエムが惚れ込んだ振付家マリファントの新作。マッシモ・ムッルとパートナーに、薄暗い照明の中、とんでもなく難易度の高い振りを淡々と、しかし緊張感を持って綴っていく。30分弱の間、ほとんど流れが止まることのない作品で、一度見ただけではとてもじゃないが消化できないものだった。とりあえず「凄い」としかいいようのない。でもちょっと最後の方はこちらの集中力が切れかかったかな。大きな盛り上がりとかなく、全編同じ抑制の効いたテンションで流れるからね。

『春の祭典』はベジャールの初期の代表作。ストラビンスキーの衝撃的な音楽を見事に具現化しかもので、東京バレエ団で見るのは3回目。生贄役の大嶋さんは群衆の中にいる段階から他の人とは異なるオーラを発していた。生贄となった極限の精神状態を見事に体現した踊りは、ホントに素晴らしかった。絶望に満ちた高揚感、そしてエロスも感じることができた。井脇さんの生贄は期待通りの安定した出来。この方にはもはや何も言うことはありません。一つだけ苦言を言うとすれば男性群舞。バラバラで中身の入っていない状態で、見ている客席のこちらまで、作品の持つパワーが伝わってこなかった。とりあえず決められた振りだから動いている、そんな状態だった。昨年末に大量に人が入れ替わったんだけど、その影響は大きいみたいだ。

そしてメインの『ボレロ』。金曜に見た時「これまでのギエムの『ボレロ』の中で一番の出来」と感じたのだけれど、今日はそのさらに上を行っていた。出だしの腕の使い方からまず違っていたし、途中でのリズム・ダンサーとのアイコンタクト、そしていつも通りのクールさの中から普段感じることのない内面の高まりもあった。何というか、ここまで自己の内面を、計算した上ではなく、さらけ出したギエムは初めて見たように思う。
これまで数えきれない程この作品を踊ってきたはずなのに、この数日間でここまで変化するというのも凄い。彼女の、今回の『ボレロ』ツアーに対する姿勢が表れているようだ。

一ヶ月に渡るツアーはまだ始まったばかり、一体最終日にはどのような『ボレロ』になっているんだろうか?

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