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来日中のバーミンガム・ロイヤルバレエ団の『美女と野獣』を、
一昨日、昨日そして今日の3日連続で観に行ってきました。

芸術監督デイヴィット・ビントレーによる、
英国らしい演劇的な全幕バレエでした。

とにかく美術・照明・衣装が綺麗。
若干薄暗い照明でしたが、それにより一層「おとぎ話(=暗い森の中の物語)」という雰囲気が出ていました。また野獣の館の美術はとても工夫がしてあって、あたかも観客自身が建物に近づき、そして中に入っていくような気分にさせてくれました。
またこの作品のために書かれた音楽も、派手さはないもののとても美しい旋律と情感を持っていて、舞台上の感情と見事にシンクロしていました。
CD出てないかなぁ。この曲、かなり欲しいです。

物語の主人公ベル役は、当初キャスティングされていたダンサーが怪我のため、結局3日間とも佐久間奈緒(同バレエ団プリンシパル)。
正確な技術と清楚で情感あふれる踊りで、この役にはとても合っていたと思います。野獣との細やかな気持ちのやり取りは、観ていて胸が熱くなりました。
3連続でしたが体力的にも問題なく、素晴らしい舞台を見せてくれました。

野獣は初日・3日目がイアン・マッケイ、2日目がツァオ・チーでした。
出番のほとんどをマスク(被り物)と全身毛皮の衣装をつけての出演で、かなり大変だと思います。熱いだろうし、サポートも多いですしね。
しかし二人とも、マスクで表情が見えないのにとても感情豊かな踊りと、確かなサポートが素晴らしかったです。

その他で気になったのは、ワイルドガール役のアンブラ・ヴァッロ(初日・3日目)。プリンシパル・ダンサーだけあって、舞台上での存在感が強く、ついつい目を引きつけられる。別の役でも観てみたいダンサーでした。
それからカラス役の山本康介(初日・3日目)。高いテクニックを見せ場で披露していました。とにかく身体がよく動くので、これまた他の役で観てみたいところです。

ビントレーの作品を生で観るのはこれが2回目。最初に観た『カルミナ・ブラーナ』(@新国立劇場)も素晴らしかったけど、今回の『美女と野獣』もまたツボにハマってしまった。映像で観ただけのものも面白かったし(『ペンギン・カフェ』など)、彼の今後は要注目です。
(今秋に新国立劇場のために振り付ける『アラジン』への期待が急上昇中)

さて、来週は『コッペリア』です。吉田都さんがゲスト出演なのでこれまた楽しみです。

※『美女と野獣』の舞台稽古映像はこちらで見ることが出来ます。

第1部■シアトリカル・ダンス
『The Elements of Juliet Capulet』
演出・構成:三輪えり花
振付:石井潤
編曲:山田香
音楽:Takashi Yoshimatsu、NINO ROTA 他
配役:〈ジュリエット〉
   実体...今村美由起
   好奇心...井倉真未
   プライド...今井奈穂
   家柄...大湊由美
   冒険...岡崎弓佳
   色気...小野絢子
   真摯...柴田知世
   道徳...鈴木愛
   〈ロミオ〉...増田真也

第2部■研修生自作自演
〈17日〉岡崎弓佳作品『release』
     音楽:Kevin Volans
    柴田知世作品『Dear』
     音楽:オスカル・メリメント
〈18日〉小野絢子作品『CAPRICE』
     音楽:Tommy Emmanuel
    今井奈穂作品『FRESHNES!!』
     音楽:Roma Ryan(「The best of Enya」より)
■現代バレエ『ル・コンバ』より
振付:ウィリアム・ダラー
音楽:ラファエロ・デ・バンフィールド
ステージング:牧阿佐美
指導:豊川美恵子
出演:クロリンダ...大湊由美
   タンクレディ...塚田歩

第3部■クラシカル・バレエ
『ライモンダ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
指導:豊川美恵子、新井咲子、佐藤勇次
出演:ライモンダ...小野絢子(17日)
         井倉真未(18日)
   ジャン・ド・ブリエンヌ
        ...逸見智彦(17日)
         マイレン・トレウバエフ(18日)
   グラン・パ・クラシック
        ...井倉真未(17日)、今井奈穂、今村美由起、
         岡崎弓佳、小野絢子(18日)、柴田知世、
         鈴木愛
         市川透、奥田慎也、貝川鐵夫、高木祐次、
         塚田歩、冨川祐樹
   ヴァリエーションI...井倉真未(17日)
            小野絢子(18日)
   ヴァリエーションII...アンダーシュ・ハンマル、坂爪智来、
             福田圭吾、八幡顕光
   ヴァリエーションIII...今村美由起、鈴木愛
   ヴァリエーションIV...今井奈穂、岡崎弓佳、柴田知世
   ヴァリエーションV...逸見智彦(17日)
             マイレン・トレウバエフ(18日)
   ヴァリエーションVI...小野絢子(17日)
             井倉真未(18日)
   コーダ...全員

新国立劇場バレエ団『シンデレラ』新潟公演
今年の観劇初めです。
この『シンデレラ』は昨年末に新国立劇場で上演したものの引っ越し公演。

キャスト表

キャストは以下の通り。
(音楽は録音のものを使用)

■シンデレラ:さいとう美帆
■王子:山本隆之

■義理の姉たち:保坂アントン慶/奥田慎也
■仙女:湯川麻美子

■父親:ゲンナーディ・イリイン

■ダンス教師:吉本泰久
■仕立屋:澤田展生
■洋服屋:神部ゆみ子 楠元郁子
■靴屋:高木祐次
■床屋:佐々木淳史
■宝石屋:井口裕之
■ヴァイオリン弾き:本島美和 千歳美香子 (←注目!)
■御者:末松大輔

■春の精:西山裕子
■夏の精:西川貴子
■秋の精:高橋有里
■冬の精:寺島ひろみ

■星の精:遠藤睦子 川村真樹 寺島まゆみ 丸尾貴子
     大和雅美 難波美保 北原亜希 下拂桃子
     田中若子 伊藤真央 寺田亜沙子 堀口純
■小姓たち:渡辺珠実バレエ研究所

■道化:グレゴリー・バリノフ

■王子の友人:陳秀介 マイレン・トレウバエフ 冨川祐樹 江本拓

■ナポレオン:八幡顕光
■ウェリントン:市川透

■マズルカ:真忠久美子 厚木三杏 神部ゆみ子 楠元郁子
      内富陽子 千歳美香子 堀岡美香 岸川章子
      貝川鐵夫 佐々木淳史 高木祐次 井口裕之
      小笠原一真 澤田展生 末松大輔 アンダーシュ・ハンマル

あいにくの荒れ模様の天候でしたが
さいとうさんの地元ということもあって会場は満員でした。

地方公演のため舞台が新国よりも狭く、
そのため立ち役がなかったり、四季の精の小姓たちがいなかったり、
舞踏会のシーンでの階段が少なかったり、
秋の精のバトンが省かれていて登場は袖からだったりもしましたが、
それ以外は本拠地新国立劇場での公演と大きな違いはありませんでした。

配役的にも年末の公演とほぼ同じ。
さいとうさんは年末の時よりも調子を上げてきていて、なかなかいい出来でした。舞台が狭いので少し踊りにくそうではありましたが、伸び伸びと等身大の女の子な「シンデレラ」像を表現していました。山本さんは相変わらずノーブルで安定感がありました。派手さはないけど決めるところは外さないし、何よりもサポートが万全。安心して観ていられました。

ほぼ年末と同じ配役の中で意外なものが1幕の「ヴァイオリン弾き」。
本来はオーケストラのメンバーが舞台上で本当にヴァイオリンを弾くのですが、テープ録音のためなんと本島さん&千歳さんが男装して登場。二人とも目鼻立ちがはっきりしているので、どこか宝塚の男役のようでカッコ良かったですね。
それからかぼちゃの馬車の御者たちですが、こちらは「王子の友人」の4人が牽いていました。狭い舞台ながらもなんとか1周半を回りきり、会場は大きく沸いていました。
(3年前の福岡公演の時は舞台がもっと狭かったので斜めに横切るだけでした)

こんな感じの新潟公演。
全体としてさいとうさん凱旋公演という感じで、
終始温かい雰囲気に包まれていました。
ダンサーたちもきっちりと踊っていて、満足度の高い舞台だったと思います。

2006年観劇まとめ ballet

随分と更新をサボってしまいましたが、観劇は相変わらず続けていました。
そんなわけで2006年の観劇記録をまとめてみようと思います。

2006年のバレエ観劇記録

1/7(土):新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』
1/8(日):新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』(昼・夜)
1/9(土):新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』
1/31(火):バレエ・プレルジョカージュ『N』
2/12(日):新国立劇場バレエ研修所第3期生(1年次)発表会
2/18(土):東京バレエ団『眠れる森の美女』
2/19(日):東京バレエ団『眠れる森の美女』
2/21(火):東京バレエ団『眠れる森の美女』
3/23(木):新国立劇場バレエ団『ナチョ・ドゥアトの世界』
3/24(金):新国立劇場バレエ団『ナチョ・ドゥアトの世界』
3/25(土):新国立劇場バレエ団『ナチョ・ドゥアトの世界』
3/26(日):新国立劇場バレエ団『ナチョ・ドゥアトの世界』
4/1(土):小林紀子バレエアカデミー発表会
4/6(木):ピナ・バウシュ ヴッパータール舞踊団
4/10(月):東京バレエ団『ディアギレフ・プロ』
4/22(土):パリ・オペラ座バレエ団『白鳥の湖』
4/29(土):パリ・オペラ座バレエ団『パキータ』
4/30(日):パリ・オペラ座バレエ団『パキータ』
5/3(水):ボリショイ・バレエ団『ラ・バヤデール』
5/4(木):ボリショイ・バレエ団『ラ・バヤデール』(昼・夜)
5/11(木):ボリショイ・バレエ団『ファラオの娘』
5/19(金):新国立劇場バレエ団『こうもり』
5/20(土):新国立劇場バレエ団『こうもり』
5/21(日):新国立劇場バレエ団『こうもり』
5/26(金):新国立劇場バレエ団『こうもり』
5/27(土):新国立劇場バレエ団『こうもり』
5/28(日):新国立劇場バレエ団『こうもり』
6/15(木):モーリス・ベジャール・バレエ団『バレエ・フォー・ライフ』
6/21(水):モーリス・ベジャール・バレエ団『愛、それはダンス』
6/24(土):新国立劇場バレエ団『ジゼル』
6/25(日):新国立劇場バレエ団『ジゼル』
6/30(金):新国立劇場バレエ団『ジゼル』
7/1(土):新国立劇場バレエ団『ジゼル』
7/2(日):新国立劇場バレエ団『ジゼル』
7/8(土):モナコ・モンテカルロ・バレエ団『シンデレラ』
7/9(日):新国立劇場バレエ研修所3期生2年次発表会
7/14(金):モナコ・モンテカルロ・バレエ団『夢』
7/16(日):小林紀子バレエシアター『インビテーション』『コンチェルト』『チェックメイト』
7/29(土):世界バレエフェスティバル 全幕プロ『ドン・キホーテ』
8/3(木):世界バレエフェスティバル Aプロ
8/4(金):スターダンサーズ・バレエ団『くるみ割り人形』
8/8(火):世界バレエフェスティバル Bプロ
8/15(火):世界バレエフェスティバル 全幕プロ『ジゼル』
9/10(日):小林紀子バレエシアター『レ・シルフィード』『ソリテイル』『パキータ』
10/5(木):新国立劇場劇場バレエ団『ライモンダ』
10/6(金):新国立劇場劇場バレエ団『ライモンダ』
10/7(土):新国立劇場劇場バレエ団『ライモンダ』
10/8(日):新国立劇場劇場バレエ団『ライモンダ』
10/9(月・祝):新国立劇場劇場バレエ団『ライモンダ』
10/15(日):新国立劇場劇場バレエ団『ライモンダ』大阪公演
11/12(日):新国立劇場劇場バレエ団『白鳥の湖』
11/15(水):新国立劇場劇場バレエ団『白鳥の湖』
11/16(木):東京バレエ団『ドナウの娘』
11/17(金):新国立劇場劇場バレエ団『白鳥の湖』
11/18(土):新国立劇場劇場バレエ団『白鳥の湖』
11/19(日):新国立劇場劇場バレエ団『白鳥の湖』
12/6(水):東京バレエ団『くるみ割り人形』(ベジャール版)
12/10(日):マリンスキー・バレエ『白鳥の湖』
12/15(金):新国立劇場バレエ団『シンデレラ』
12/16(土):新国立劇場バレエ団『シンデレラ』
12/17(日):新国立劇場バレエ団『シンデレラ』
12/19(火):新国立劇場バレエ団『シンデレラ』
12/22(金):新国立劇場バレエ団『シンデレラ』
12/23(土):新国立劇場バレエ団『シンデレラ』
12/24(日):新国立劇場バレエ団『シンデレラ』
12/28(木):小林紀子バレエシアター『くるみ割り人形』

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2006年の演劇他観劇記録
2/11(土):パルコ+サードステージ『ラブハンドル』
2/11(土):HOTROAD★TRAIN Vol.3『デビルマン〜不動を待ちながら』
2/23(木):キャラメルボックス『賢治島探検記』
3/19(日):劇団雑貨店『ヤクシャ』〜月ト、桜ト、迷エル心。〜
4/7(金):キャラメルボックス『あしたあなたあいたい』『ミス・ダンデライオン』
4/20(木):キャラメルボックス『あしたあなたあいたい』『ミス・ダンデライオン』
6/9(金):お祭り企画メリーメイカー『Bitte! bitte!』
6/10(土):お祭り企画メリーメイカー『Bitte! bitte!』
6/11(日):お祭り企画メリーメイカー『Bitte! bitte!』
6/14(水):ボローニャ歌劇場来日公演『イル・トロヴァトーレ』
6/20(火):新国立劇場オペラ『こうもり』
6/22(木):キャラメルボックス『俺たちは志士じゃない』
6/29(木):キャラメルボックス『俺たちは志士じゃない』
7/20(木):キャラメルボックス『雨と夢のあとに』
8/2(水):キャラメルボックス『雨と夢のあとに』
8/17(木):キャラメルボックス『雨と夢のあとに』
11/10(金):ポケットシープス『METAL MADE MEMORY』
11/25(土):キャラメルボックス『少年ラヂオ』Green・Redキャスト
12/13(水):キャラメルボックス俳優教室『ブリザード・ミュージック』Aキャスト
12/14(木):キャラメルボックス俳優教室『ブリザード・ミュージック』Bキャスト
12/15(金):キャラメルボックス俳優教室『ブリザード・ミュージック』Aキャスト
12/16(土):キャラメルボックス俳優教室『ブリザード・ミュージック』Aキャスト
12/19(火):キャラメルボックス『少年ラヂオ』Greenキャスト

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バレエ67公演、その他演劇など26公演、
合わせて93公演に足を運んだことになります。
単純計算で4日間に1回は劇場に行っていたというわけで、
当然ながら自己記録更新です。
(2005年はバレエ61回、演劇19回、計80回でした)

今年はさすがにこの頻度は無理じゃないかなーと思いますが、
毎年同じように思っているので実際どうなるかは自分でもわかりません。

それでは今年も素晴らしい舞台に出会えますように。

週末は劇場で過ごす ballet

久しぶりのエントリーです。
(新国『こうもり』『ジゼル』、そしてベジャールバレエ団、キャラメルボックス『俺たちは志士じゃない』と結構見に行っていたんだけど、結局感想を書くタイミングを逃しちゃいました)

そんなわけで先週は〆切りに追われたけど、それも一息ついたので週末は劇場通い。

土曜は渋谷オーチャードホールへ、モナコ・モンテカルロバレエ団来日公演『シンデレラ』を見に行く。

映像では何度か見ていたマイヨー作品、生で見るのは初めてでした。

誰もが知っているおとぎ話を下敷きに、そこにシンデレラの父親の亡き妻への愛をもう一つのテーマとして(いや、主題と言ってもいいかな)絡めた筋書き。とても効果的に話がクロスリンクしていき、感動的でせつないラストシーンに繋がっていく。

私が観た昼の会はファーストキャストということで、ダンサーの質、シンプルかつ効果的な舞台セット、美しい照明、そしてなによりも素晴らしい振付・演出が揃った奇跡のような舞台でした。

見終わった後、神経が高ぶってしまって頭の中でプロコフィエフの音楽がグルングルンと回っていましたよ。

来週末のもう一つの作品『夢』も、とても楽しみになりました。本来は金曜のみ見に行くつもりだったけど、もしかしたら土曜も通うことになるかも。

*     *     *     *     *

そして今日は初台・新国立劇場にて新国立劇場バレエ研修所3期生の2年次発表会へ。

昨年10月の公開レッスン、そして今年2月の1年次発表会に続いて、彼女たちの踊りを見るのは3回目。若いバレリーナ(の卵)達が、着実に伸びていっている姿を見るのはとても嬉しい気分です。

今回はヒストリカル・ダンス、コンテンポラリー・ダンス、そしてクラシック・バレエの3部構成になっていました。それぞれに興味深く、ダンサーによってコンテンポラリーで目立つ人、クラシックで目立つ人(もしくは両方とか)といろいろいて、今まで以上に研修生の個性を見ることが出来た発表会でした。
(とりあえず、パ・ド・ドゥを踊った二人は技術、華やかさなどが飛び抜けていると思いました)

次は来年2月の修了公演。研修期間も残り半年ですから、充実した時間を過ごして欲しいですね。

ちなみに賛助出演という形で新国立劇場バレエ団ダンサーも数多く舞台に登場していて、そういった部分でも楽しめました。

5/11(木)の公演。
『ファラオの娘』はDVD(ザハロワ主演)が発売されているけど、それはまだ見たことがないので、今回が全くの初見。
この日の主演はアスピシアがS.ルンキナ、ウィルソン卿/タオールがD.グダーノフ。

ルンキナは高貴で凛としたお姫様でした。
夢見がちというタイプではなく、ちょっと現実的でクールな雰囲気。ボリショイにしてはちょっと線が細い踊りだけど、群舞の中にいてもすぐに「主役」だとわかるオーラを出してます。スタイル抜群&超美人なので、決めポーズがとにかく美しかったです。 ただ演技面では上記のクールな面が出るせいか、ちょっと淡泊に見えたかも。ベタベタの古典よりも、新しい時代の作品の方が似合うかもしれません。ちなみにこの日、初めて彼女の踊りを生で見たのでした(今までは怪我やらおめでたやらでキャンセルになってた)。

グダーノフもこの日が初見。
品があって端正で、踊りは結構力強い(でも力任せではない)。
今回来日した4人の男性プリンシパルの中では、実は一番ノーブルかもしれない(あ、フィーリンがいるから一番は言い過ぎかな?)。テクニックあり、サポートよし、自分をあまり推し出さないけどちゃんと存在感あり。かなり気に入りました。
今後また見る機会があったら見逃せないダンサーです。

あと脇を固めた面子も充実してました。
ジョン・ブル役のメドヴェージェフはコミカルに動きつつも踊りは盤石、ラムゼ役のアンドリエンコ(『ラ・バヤデール』では影の王国の第1ソリスト)がコール・ドながらも大健闘。力強いテクニックで大きな拍手をもらっていました。
漁師の妻で出演したシプリナ。とても市井の人には見えない高貴な雰囲気で、華やかに踊っていました。
あと2幕のヴァリエーションは総じて高レベル。オシポワ、ゴドフスキーなど、『ラ・バヤデール』で好演したメンバーが、今日もいい踊りを見せていました。

振付は結構難易度高し。群舞も結構踊るので、この作品を踊る力を持つバレエ団は限られますね。なによりも出演人数がものすごい。ダンサーだけで100名以上というから、ボリショイクラスじゃないと上演不可能ですね。

音楽的には正直「ただの伴奏」レベルだし、ストーリーも大したことないので、映像だと途中で飽きてしまうと思います。でも生の舞台としては、豪華な衣装&セット、どんどん出てくるダンサーたちなど、結構楽しめる作品でした。

なんかしばらくしたらまた見たくなりそうな気がします(でもボリショイ限定ね)。

GWはボリショイ・バレエ団の来日公演『ラ・バヤデール』に通っていました。

まずは5/3(水)。キャストはザハロワ(ニキヤ)、ツィスカリーゼ(ソロル)、アレクサンドロワ(ガムザッティ)。
ザハロワは相変わらず完璧なプロポーションを活かしての美しい踊り。ただ、この日は来日直後の初日ということで少し堅かったかな。新国に毎年客演していることもあって、彼女の踊りはよく知っているつもりだけど、この日は特に良くも悪くもない出来(というかいい所もあり不安定なところもあり、というべきかな)。硬質で明晰な踊りで、演技面でも以前よりも濃厚になっていたけれど、時折バランス面でぐらついたりもしていた。華もあったけど、絶好調の時の強烈な印象はなし。全体としては高レベルだけど無難な踊りでした。
ツィスカリーゼは前々回(?)の来日公演以来、久しぶりに見ました(その時はガラで『ナルシス』を踊ってた)。常人離れした柔軟性(特に背中と股関節)と濃ゆい演技が印象に強烈に残りました。ただ自己陶酔オーラが強すぎることもあって、ニキヤとの間の愛はなかったように思います。あと彼はサポートはあまり上手くないのね。やっぱり「自分大好き」なせいもあって、女性を立てるのは苦手なんでしょうか。
アレクサンドロワは好調。印象としてはザハロワよりも強く残りました。絶対的な技術と宙に浮かぶ跳躍、そして華やかな雰囲気があって素晴らしかったです。


昼(マチネ)はアラシュ(ニキヤ)、フィーリン(ソロル)、シプリナ(ガムザッティ)という組み合わせ。
アラシュはスタイルはいいし踊りも丁寧。だけどあまり印象に残ってない。主役としてのオーラが足りないというか、踊りが素直すぎて個性が弱いというか。
対してガムザッティ役のシプリナは天性の華やかさがあり、踊りも強さがあり、演技面でも悪女ぶりがよく出ていて好演。白鳥/黒鳥とかでまた見てみたいかも。
フィーリンはとても恰好良かった。戦士としての凛々しさと、ニキヤに対する誠実な愛情を感じる事ができました。踊りもソツの無い品のある踊りで○。
全体的にちょっと地味な印象でした。舞台の緊張感もちょっと緩く感じた(特に群舞)。休日のお昼で客席がそれほど埋まってなかったことも影響しているかな。


夜(ソワレ)はグラチョーワ(ニキヤ)、ネポロージニー(ソロル)、アレクサンドロワ(ガムザッティ)。
とにかくグラチョーワが素晴らしい出来だった。91年のグリゴローヴィチ版の初演キャストも務めた彼女だけに細部まで神経の行き届いた濃密な演技、そして驚異的なバランスを見せたテクニック等、会場を多いに盛り上げていました。
ネポロージニーは相変わらず若々しい雰囲気。以前よりも踊りの線が太くなったかも。テクニックは安定してるし、戦士にしてはちょっと柔弱な感じだけど、力強さもあった。なんとなくウヴァーロフ的なたたずまいになっていたような気もする。
アレクサンドロワは絶好調。高度な技も難なくこなし、跳躍は男性並に高い。そして何よりも高貴な姫様らしいオーラがよく出ていました。2幕を盛り上げたのは、間違いなく彼女です。

またソワレは舞台としても完成度が非常に高くて、その他のソリストや群舞も素晴らしい出来でした。ブロンズ・アイドルの岩田さんは相変わらず素晴らしいし、太鼓の踊りはますますダイナミック。そして3幕の影の王国の群舞の出来は、昨日今日の3公演の中でも飛び抜けて素晴らしかったです。舞台の出来が会場を盛り上げ、その会場のノリに舞台上のダンサー達がさらに乗っかっていったように思いました。

カーテンコール時は熱狂的な拍手に包まれて、グラチョーワはとても上機嫌でした(最後はスタンディング・オーベーションになりましたしね)。

ボリショイの『ラ・バヤデール』を見るのは今日までだったのですが、最後にとてもいい舞台に出会えて、満足感で胸一杯です。

いやー、今日の『パキータ』は素晴らしかった。

群舞も昨日よりも良かったし、ルグリ代役のベランガールも今日の方が主役らしく見えた。

でも何よりオレリー・デュポンが本当に素晴らしかった!
「これぞエトワール」という貫録と存在感があって、客席からは熱狂的な拍手があがっていました。

登場の瞬間から幕が下りる最後まで、舞台の中心であり続け、踊りはまったく乱れず(ちょっとくらいブレてもしっかりとリカバリーしてしまう)、1幕と2幕でしっかりと役を踊り分け、観客を満足させる。本当に素晴らしいバレリーナに成長したものです。

...随分前にルグリに連れられて来日していた頃は、才能はあるけど経験がまだまだで危なっかしい踊りをしていたのを思い出すと、肩書きが人を育てるというのは本当だなぁと実感します。

また『パキータ』2回目ということで、今日は周りで踊っている人たちにも目を向けてみました。オペラ座バレエ団/バレエ学校のドキュメントフィルムに登場していた子達を何人も発見して嬉しかったですね。

最後の最後でとても素晴らしい舞台を見せてくれたパリ・オペラ座バレエ団。うーむ、ちょっとファンになってしまうかも(←実は今までそれほど贔屓にしてたわけではなかったのです)。

今日は午後からパリ・オペラ座バレエ団『パキータ』公演@上野東京文化会館。
当初の発表ではエトワールであるマチュー・ガニオが主役を踊るはずだったけど、怪我のためプルミエ・ダンスールのジェレミー・ベランガールが代役でした。パートナーは同じくプルミエのドロテ・ジルベール。2年前のルグリガラで見た時は、華やかで技術はしっかりしてるけど、特にアームスの使い方に変な癖があるな、という印象でした。それが今回主役でどうなってるのかが、個人的注目点でした。

作品としての『パキータ』は、実はそれほど面白くない。踊りとドラマが完全に分かれてしまっていて、登場人物がどのような心境なのかを踊りから読み取るなんて必要はまったくない。ただ華やかに踊り、その合間でドラマはさっさと終わってしまう。
音楽的にも単純な「踊りの伴奏」的なものが多く、よく抜粋で上演される部分以外はほとんど記憶に残っていない(抜粋される部分は有名になるだけあって、それなりにいい曲)。

タイトルロール・パキータを踊ったドロテちゃんは、登場した瞬間から「主役」オーラ全開、テクニックは元々ある上に華やかさも充分、そして以前気になっていた変な癖も完全にではないまでもかなり薄まっていた。また、踊る場面が多いにも関わらず、後半になっても調子は落ちずにパフォーマンスのレベルを維持。とても見事な日本での主役デビューだったと思います。この踊りを続けていけば、将来的にエトワールも夢じゃないと思いましたね。

リュシアンを踊ったのベランガール、技術的には安定していたし(ソロでちょっとバランスを崩したところはあったけど)、演技面でも問題はなかったけど、いかんせん華がない。舞台に登場しても、すぐには主役だと認識できないくらい。真ん中を踊るには地味だよなぁ。彼は急遽帰国したルグリの代役として明日も踊るんだけど、どうなんだろうなぁ。舞台は破綻しないだろうけど、何か印象に残るタイプのダンサーではないかな。

目立ったのはカール・パケット。彼は舞台上に登場し、何かちょっとした仕草をするだけで観客の目線をつかむことのできる存在感があるダンサーですね。演技も濃くて○。こういうダンサーがいると舞台が締まるんですよ。
またパ・ド・トロワを踊ったエマニュエル・ティボー。とても活きのいい踊りをしていました。弾むような跳躍と柔軟性、舞台映えのする容姿、そして何より存在に華がある。今日は5階席から見ていたのですが、そんな舞台から離れた客席にも強烈な印象を残すような踊りを見せてくれました。今後、要チェックなダンサーです。

それ以外で気になったのはオケの出来。いい意味ではなく悪い意味で目立ってました。特にホルンは1幕1場から2場への間奏曲で、主旋律が出なくなるという大チョンボ。それ以外でもバイオリンソロの音程がズレていたり、出だしと締めの音が揃わなかったり、下手したら大学生オケよりも酷いのではという内容。普段はとりあえずする終演後のオケへの拍手も、今日はさすがにできませんでした。

あと気になったのはパリオペダンサーの均一性のなさ。一人一人は綺麗に踊っているんだけど、全体で見るとタイミングや間の取り方がズレている。「ホントにみんな同じ学校・教師から同じメソッドで学んできたダンサーなの?」と思ってしまいました。まあ、そんなに大袈裟に言う程のレベルではないのかもしれませんが、パリオペにはそれを期待してるのでちょっと書いてみました。

などとちょっと辛口に書いていますが、なんだかんだいっても全体としては結構満足できた公演でした。


公演終了後には今度は五反田ゆうぽうとに移動。
橘バレエ教室の発表会を見てきました。
私が観たのは第3部、『眠れる森の美女』全幕。
ゲストが結構豪華で、オーロラ役に坂井直子さん&高岸直樹さん(東京バレエ団)、リラの精に工藤千枝さん(新国立劇場バレエ団)、フロリナ姫&ブルーバードに今村恵さん&中村誠さん(同じく新国立劇場バレエ団)といった面々。その他にも元東京バレエ団の窪田央さんや芝岡紀斗さん(4人の王子役)、新国立劇場バレエ団の荒幡大輔さん(狼役)などが出演。舞台美術も豪華だったし、登場人物も小さな子供から大人までたくさんいて、楽しい舞台でした。


そんなこんなでバレエ漬けな1日。でもまだ終わりません。
明日は再び上野・東京文化会館に行ってパリ・オペラ座バレエ団『パキータ』を見てきます。ルグリが降板してしまったので、ちょっとモチベーションが下っていますが、別の楽しみを探しながら見てみようと思っています。

昨日は仕事を終えてから、五反田ゆうぽうとへ東京バレエ団《ディアギレフ・プロ》を観に行った。20世紀初頭のバレエ興行主で「バレエ・リュス」の主宰であったセルゲイ・ディアギレフ。彼の元で活躍したニジンスキー、フォーキンの作品を上演したのがこの公演でした。

『牧神の午後』(振付:ニジンスキー)
今回の公演写真にもなっているこの作品。ギリシャ神話の牧神を、ゆったりとした平面的な動きで表現したもので、「踊っている」というよりも「舞っている」という印象が強い。牧神はこの公演で1年ぶりの登場となる、元団員の首藤康之さん。半獣半人(神)であるこの役を、柔らかく、しかし緊張感溢れる動きで好演していた。ただ、彼ならもっと「不思議な場を支配する空気」を出せたのではないかな、とも思った。数年後に再演したら、面白くなるかも。

『薔薇の精』(振付:フォーキン)
数々の名ダンサーが踊ってきた作品。大嶋正樹さんが薔薇の精、高村順子さんが少女役だったけど、これが期待以上の出来だった。大嶋さんの華やかさはあまりなかったけど、薔薇の精は柔らかな手の動きとちょっと濃い雰囲気が役柄によく合っていた。少女役の高村さんは夢見がちでとても可愛らしい印象。夢を見ている時の現実感のない動きもよかったし、なによりもフリルだらけの白衣装が似合い過ぎ。出てきた瞬間から作品世界を醸し出していたと思います。

『ペトリューシュカ』(振付:フォーキン)
今までベジャール振付のものしか観たことがなかったけど、この"オリジナル"な振付も面白い。3つの人形(ペトリューシュカ、バレリーナ、ムーア人)だけでなく、街の群衆のごちゃつき感とか、その中での踊りもソリスト陣の気合いが入っていて良かった。メイン3人ではバレリーナ役の長谷川智佳子さんが素晴らしかった。芯の通った安定した技術、キビキビとしつつ人形らしいぎこちない動き等、最近の充実ぶりが伝わってくる出来でした。ペトリューシュカは首藤さん。悲哀に満ちた良い出来だったと思います。でも、やはり『牧神〜』と同じで、ほんのちょっとだけど何かが足りないようにも感じました。数年前の、何か追いつめられたような、ギリギリにまで引っ張られたバネのような張りつめた緊張感というのは「今」はもう出ないのでしょうか。というか、今それを期待するのは無理なのかな。彼も変わってきていますからね。今の方が精神的に充実していて安定しているようなので、以前のような「剥き出しの魂」は難しいのかもしれませんね。

総じて満足の出来る舞台でした。
特に『ペトリューシュカ』は面白かった。ああいう作品はまた見て観たいなと思います。ただ、最近の東京バレエ団は比較的評価の定まった作品・振付家ばかり取り上げているので、もう少し若い世代のものを取り上げることもして欲しいな、とも思います(それこそ、ナチョとかを東バがやるのも面白いと思う)。その辺りはトップの好みなのでしょうかね。

この数年来お気に入りの振付家ナチョ・ドゥアト。
いつも見に行っている新国立劇場バレエ団が、彼の作品だけのプログラムをやるというので、ワクワクしながら劇場へ行ってきました。

『ドゥエンデ』
ドビュッシーの音楽を用いて構成された作品。4年前に私が始めて見たナチョ作品でもあります。全ての動きが流れるように、音楽を奏でるように振付られていて、ドビュッシーの音楽に心地よく浸れました。音楽の踊りの「拍」「余韻」が見事なまでに一致していて、音楽の良さをより一層引き出してくれます。何度でも見てみたいですね、これは。

『ジャルディ・タンカート』
ナチョの処女作。2年半振りの再演。スペイン地中海地方の乾いた空気と土のにおいを感じさせてくれる作品。今回上演される中で一番少ない人数ですが(6人)、その分の「余白」が作品の持つメッセージをより強く訴えているように感じます。人数が少ない分、個々のダンサーの負担がとても大きく、大変そうです(はぁはぁ、という呼吸音が耳に入ります)。

『ポル・ヴォス・ムエロ』
スペインの古楽を用いた作品。日本初演。典雅で奥行のある印象。舞台セットがシンプルながらとても美しく、またその使い方も上手い。様々な感情が秘められて、それぞれが入れ替わり立ち替わりに登場する。しかしあくまでも音楽的で美しい。

ナチョ・ドゥアトという振付家は、本当に音楽の使い方が巧い。常に音楽と踊りが一体化している。そのため、初見の作品であっても違和感はなく心地よい。ダンサーにとっても身体的にはしんどいが、やはり心地よいらしい。

日曜までの4公演、全て通う予定なので、その中で作品が、ダンサー達が、どう変わっていくのかを楽しんで見てこようと思っています。

東京バレエ団による、V.マラーホフ振付/演出の『眠れる森の美女』を見に、この二日間は上野の東京文化会館に行っていました。

このマラーホフ版、事前に写真で見ていた衣装や美術がとてもカラフルで豪奢なものだったので、「これを東京バレエ団がやるとしたら、どうなるんだろう?似合うのかな?」ってずっと思っていました。
で、実際に舞台を見てみると「お、思ってたよりも全然問題ないじゃない」。薔薇をモチーフにした、ピンク・紫・グリーン・オレンジを基調とした色彩で、とても華美でハイセンスな印象。似合うか心配していた衣装も、想像していたよりもずっとしっくりきていました。

主役オーロラ姫は吉岡美佳さん。繊細でたおやかな踊りが特徴で、ちょっと大人びた、だけど可愛らしいオーロラでした。両足にテーピングをしていて、絶好調というわけではなさそうだけど、それでも決して崩れることのない安定感はベテランならではでしょうか。初日はローズアダージョの最後のバランスで、ちょっと時間がかかってしまい音楽が冗長になってしまいましたが、2日目はその辺りをちゃんと調整していたりしてさすがです。

マラーホフは数年前と比べるとちょっと力が落ちたかなぁと思うこともあったのですが、それでも「王子様」としての天性の気品と美しいライン、そして安定したサポートで存在感を出していました。この二人、とても相性がいいと思います。お互いのいいところを引き出すというか、まず並んで立っているだけで絵になりますからね。

リラの精は上野水香さん。正直なところ、これまで何度か見ているけれどいつも「うーん」と首を捻っていた彼女の踊りですが、今回は東京バレエ団の踊りの中にいい意味で溶け込んでいたし、ストーリーにもしっかりと乗っていたと思います。

カラボスは元団員で賛助出演の芝岡紀斗さん。このバージョンはカラボスの出番が多く、(大袈裟な)演技が中心なので、長身で体格のいい彼はとても印象に残ります。かなり美味しい役です。
ただ、大袈裟な身振り手振り、そしてメイクのために、ワハハ本舗の梅ちゃん?というイメージが浮かんでしまいました(笑)。とにかく、美味しい役どころです。

その他の登場人物で印象に残った人を箇条書き。
・純真の精の大島由賀子さん(両日)。のびやかで大きな踊りが○。
・ルビー(18日)と雄弁の精(19日)を踊った長谷川智佳子さん。キレのある踊りが心地よい。
・サファイアの佐伯知香さん(両日)。無駄のないキレイな踊り。
・シンデレラ&フォーチュン王子の井脇幸江さん/木村和夫さん(両日)。ベテランらしい、さすがの貫録。
・フロリナ姫(18日)の小出領子さん。高貴さと可愛らしさ、芯の強さ全てを内包している、素晴らしい出来。
・ブルーバードの中島周くん(19日)。ラインがとてもキレイ。そしてなによりも腕の柔らかい動きが素晴らしい。ふんわりを宙を舞っていた。
・牡猫と小猫。前川美智子さん/平野玲くん(18日)と吉川留衣さん/大嶋正樹さん(19日)。2組とも○。18日はコケティッシュな小猫と心優しき牡猫。19日はクールで可愛い小猫とちょっとワイルドな牡猫。キャラクターが全然違っていてどちらも面白い。

あと普通の眠りよりも男性陣の活躍する場面が多いのが印象的。やはり現役男性ダンサーであるマラーホフが振り付けたのが大きな要因かな。群舞は比較的大人し目。もう少しいろんな場面で踊って欲しいとも思った。

残るは火曜の最終日。初日と同じキャストだけれど、一度本番を踊っているわけで、もしかしたら違う印象を持つかもしれません(それが複数回通う楽しみの一つ)。火曜日が待ち遠しいです!

今日は初台新国立劇場に、バレエ研修所第3期生の1年次発表会を見に行ってきた。昨年春に入所して約10ヶ月、平日は毎日午前10時から午後5時半まで、みっちりと組まれたカリキュラム&レッスンで過ごしてきた8名の研修生たち。その成果がどんなものなのか、確かめに行きました。

演目は以下の通り。
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■スパニッシュ・ダンス
『オーチョ・ムヘーレス』
『ブレリーアス』
出演:井倉真未、今井奈穂、今村美由起、大湊由美
   岡崎弓佳、小野絢子、柴田知世、鈴木愛
ギター:高橋紀博
カンテ:アギラール・デ・ヘレス
パルマ:柳谷歩美

■クラシカル・バレエ
『ワルツ』(作曲:グノー)
出演:井倉真未、今井奈穂、今村美由起、大湊由美
   岡崎弓佳、小野絢子、柴田知世、鈴木愛
賛助出演:清瀧千晴、坂爪智来(共に牧阿佐美バレヱ団)

『海と真珠』
出演:井倉真未、小野絢子
賛助出演:八幡顕光(新国立劇場バレエ団、バレエ研修所第2期生)

『シンフォニエッタ』
出演:井倉真未、今井奈穂、今村美由起、大湊由美
   岡崎弓佳、小野絢子、柴田知世、鈴木愛
賛助出演:堀口純(新国立劇場バレエ団、バレエ研修所第2期生)
     清瀧千晴、坂爪智来
(以上敬称略)
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最初のスパニッシュ・ダンスは、さすがにまだ初めて1年未満ということで迫力にはかけましたが、動きの優雅さやポーズのカッコ良さはそれなりに出せていました。目に付いたのは小野絢子さん(とにかくポーズ/動きがキレイ)、井倉真未さん(見栄の切り方がカッコイイ)。

途中、研修風景の映像が20分ほど流れた後、クラシカル・ダンスの部へ。
『ワルツ』は、軽やかで優雅な動きが多く用いられた、美しいアンサンブルの踊り。比較的短めの作品だったので、個々の動きはあまり把握できず。
『海と真珠』では研修生2人と賛助出演の八幡くん(第2期生)の3人の出来がとても良く、かなり満足できました。小野さんと井倉さんのコンビはリズミカルで軽やかで、でも小さくまとまらずにそれぞれの良さをアピールできる踊りだったと思います。

最後の『シンフォニエッタ』は、先月末に研修所がワシントンで開かれた「国際バレエ学校フェスティバル」に参加した際に上演した作品(グノーの交響曲第1番の一部を使って作られたもの)。明るい音楽に乗って上品に軽やかに踊るもので、とても楽しめました。賛助出演の堀口さんは、派手さはないけれど品があって隙のない正統派のバレリーナ。彼女をこれまでちゃんと見たことなかったのですが、その良さがよくわかりました。ここでは研修生の小野さんが堀口さんと同じくソリスト扱いで踊っていて、可愛らしい容姿・理想的なスタイル・安定した技術そして華やかな踊りを披露していました。その前に『海と真珠』も踊っているし、彼女は第3期生の優等生で、バレエ団の将来のソリスト候補という感じでしょうか。

全作品上演後に、研修生全員の一言挨拶、豊川恵美子主任講師からの挨拶などがあり、約2時間弱の公演は終わりました。

彼女たちは、2年の研修期間のまだ1年目、現段階での評価はあまり意味がないわけですが、それでも小野さんは確実に頭一つ抜けた存在です(もっとかも)。研修期間終了後、新国立劇場バレエ団に入団するのかどうかはまだわかりませんが、もし入団ということであれば、いきなりソリストという契約になっても全然驚きませんね。そのくらいの才能を持っていると思います。
もちろん、他の人たちもこれからの1年で伸びていくでしょうし、それを期待したいと思っています。

次は7月に発表会が予定されているので、これももちろん見に行くつもりです。

昨日は再び新国立劇場へ、『バレエ・プレルジョカージュ』を見に行ってきました。

先日の『N』に続いて日本初公開の作品『Les 4 Saisons(四季)』。ヴィヴァルディの音楽とその個々の曲を繋ぐ"無音"、そしてプレルジョカージュ振付によって構成された作品で、『N』よりも気軽に楽しめるものになっていました。全体的に明るい照明の中、様々なものがぶら下げられた舞台上で、カラフルな衣装を身に着けた(場合によってはほとんど何も身に付けない)ダンサーが、身体能力の限界を目指すように動きまくっていました。奇抜な衣装や動き、発声に少し戸惑いも感じましたが、笑いの場面があったり、目が離せなくなる場面が多かったりと、「また見てもいいかな〜」と思える面白い作品だったと思います。

とりあえず今回の公演を見て、時代を変えるような斬新な切り口は感じなかったのですが、ダンサーの驚異的な身体能力をどんどん引き出すような振付と演出には、素直に感嘆しました。ついていけない表現・場面ももちろんありますが、コンテンポラリーで全部理解できてしまうというのも面白くないわけで、まあいいかなと思っています。
次に公演があるときは、また見に行こうと思います。

以前から興味はあったけれど、まだ見たことのない振付家A.プレルジョカージュ。彼のカンパニーが今週新国立劇場の中劇場で公演を行うと言うことで、見に行ってきました。

今日の作品は日本初上演の『N』。振付家自信の怒りや絶望が反映されている、ということで暗い照明と地を這うようなダンサーの動き。その中で人間の中の動物的暴力や非人間的な社会、差別や階級などのもたらす残酷さが描かれていて(←私の主観です)、決して明るく希望に満ちたものではありません。でも、何故か不快感はなく、1時間15分の公演時間を、興味深く見ることができました。ただ、潮位時間続くストロボ効果の照明は、さすがに目が疲れましたけどね。

週末には、こちらも日本初上演の『Les 4 saisons...(四季)』が上演されるので、まだチケットは買っていないけど見に行ってみようかな、と思っています。

3日間で4公演というハードスケジュールの舞台も最終日。
見てる方も大変だけど、ダンサーはもっと大変だろうなぁ。

最終日のキャストは初日と同じS.ザハロワとA.ウヴァーロフ。ザハロワは初日は丁寧にきっちりと踊っていたけど、最終日は勢いを重視していてよりダイナミックな印象。初日がキーロフ風で最終日がボリショイ風味と言ってもいいかな。個人的にはボリショイ好きなので最終日の方が楽しめました。ウヴァーロフは初日は地味な印象だったけど、最終日は伸び伸びと踊っていて存在感大(いや、体格ももちろん一番大きいんですけどね)。

その他のキャストも初日と同じだったんだけど、道化役の吉本泰久さんのみが怪我のため降板。代役は昨日道化デビューをはたした八幡顕光くんでした。昨日昼夜と連続して踊っていて疲れてるだろうけど、そこは若い新人。今日も元気に飛び跳ねていました。『カルミナ・ブラーナ』の時にもかなり注目を浴びたけど、今回の道化の踊りで「新国に八幡あり」と、大きなアピールになったと思います。自分の回りでも、ネット上の感想などを見ても、皆一様に称賛していますからね。小さい体だけど「大きなダンサー」になれるよう、今後も引き続き注目していきたいです。
(私は2年前の研修所1年目から注目してます)

群舞はこの3日間で結構良くなったと思います。若いメンバーが多い分、キッチリと揃えるのはなかなか大変みたいですけど、シーズン当初を思えば、悪くない上達ぶりですね。6月の『ジゼル』の頃にはどうなっているのか、こちらも要注目です。

さて、私の回りやネット上でいろいろ言われているオケ(+指揮者)ですが、今日はそれほど悪くなかったです。でも時々低音部とメロディー部がズレていたように感じたし、金管の音外しも初日のようにひどくはなかったけどそれなりにありましたし。あと指揮についてですが、どうもダンサーの動きに対して必要以上に合わせてしまうタイプのようで、それがかえってダンサーにとっては踊りにくくなっていたかもしれません。特に若いダンサーにとっては、もっと引っ張ってくれる音楽の方が踊りやすいと思います。

さてさて、これで新国の公演はしばらくお休み。次は3月後半の『ナチョ・ドゥアトの世界』です。出演するダンサーは少ないみたいですけど(ほとんどソリストクラスのみ)、こちらも全日チケットを抑えてるので楽しみです。

昨日に引き続き初台・新国立劇場にて『白鳥の湖』を観劇。
しかも昼公演と夜公演のはしご。
そのせいで昼の12時過ぎから夜の11時くらいまで、ずっと初台オペラシティーにいました。

昼は寺島ひろみさんと貝川鐵夫さんの初役コンビ。二人とも最初は緊張のためか動きが硬かったけど徐々にほぐれていって、最後の3幕ではなかなかいい出来になっていました。そんなわけで演技面では少し消化不良なところが残ったけど、二人ともとても美しいラインを持っているので、はっとさせる一瞬が何度もありました。次にまた大きな役を踊る時には、今回の経験を活かしてもっといい舞台を見せてくれることを期待したいです。
同じく初役として道化を踊ったのは八幡顕光くん。入団したシーズンで道化役っていうのはすごい大抜擢だと思うけど(彼はソリストではなくコール・ド・バレエ)、無事に大役を踊りきりました。最初はやはり緊張していたらしく表情も硬かったのですけど、途中から笑顔が出てきて伸び伸びと踊っていました。次の『ナチョ・ドゥアトの世界』でも踊ると聞いているので、いろいろ期待したい注目株です。

夜、こちらは酒井はなちゃんと山本隆之さんの看板コンビ。二人ともベテランということもあって、演技面でも隙が無く、質の高い舞台でした。なによりもはなちゃんが絶好調で、彼女の踊りで観客席のボルテージがどんどん上がっていくのが感じられました。袖に引っ込んだのに拍手が鳴り止まずに、もう一度舞台に出てきてレヴェランスするという、新国では滅多にないことも起きました。

今シーズン新人がたくさん入った群舞ですが、昨日よりもぐっと良くなっていました。年末年始、そして昼夜公演というこのハードなスケジュールが、いい意味で緊張感をもたらしたのでしょうか。明日も期待です。

明日は初日にとてもいい出来だったザハロワ。その好調さは明日も発揮されるのかどうか、見物です。

今年の初観劇 ballet

新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』初日。
主演はS.ザハロワとA.ウヴァーロフ。

いやー、今までザハロワは何度も見てるし、オデット/オディールも3回目なんだけど、今回のが一番の出来だね。もともと容姿&体型に恵まれていて「これぞバレリーナ」というスタイルでテクニックも素晴らしいものを持っていた。気品もあり、「世界で指折りのプリマ」な存在なんだけど、何故か今まではそれほど心に残ってはいなかった。テクニックや存在感で圧倒されたことはあるけど、叙情性という面では「教科書通り」という印象だった。だけど今日の舞台は繊細でしっとりとした叙情性があり、その中に一本通ったドラマがあったように感じた。正直あまり期待していなかったこともあって、かなり満足できた舞台だった。
ウヴァーロフはやや大人し目。ザハロワのサポート係という感じもあったけど、自分のソロのところではしっかり決める辺りはさすがベテラン。なんとなく「段取りを踏んでいる」ように見えるところもあったけど、彼の場合はそれが「お茶目」に見えるのが不思議だ。

その他では道化の吉本泰久さんが奮闘。舞台を縦横無尽に跳んで回って走ってました。演技面でも舞台の端の方でいろんなことやってて、見てて飽きませんでした。また大きな白鳥/2羽の白鳥を踊った川村真樹さんが、清楚で凛とした踊りで目を引きました。

今日は初日ということもあってか、舞台上での転倒/躓きがあったり、オケと指揮者のタイミングが少し合わないところがあったりと、主役以外のところで少しバタバタしたところがありました。明日/明後日はこういうことがないように頑張って欲しいです。

明日は昼夜ともに日本人キャスト。特に昼は寺島ひろみさん/貝川鐵夫さんの主役二人が初役ということで、とても楽しみです。もちろん夜の酒井はなちゃん/山本隆之さんの黄金ペアも楽しみ。あと新人の八幡顕光くんの道化も要注目です。

というわけで明日は昼過ぎから夜中まで、初台でどっぷりとバレエ漬けです。

昨日に引き続き新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』を観に行った(今年の新国くるみは12/16、17、23、24、25の5回観ます)。今日の主役はここ数年ずっとご贔屓にしている本島美和さん。バレエ研修所第1期生で、今シーズンで入団3シーズン目。そして今年3回目の主役公演です。

柔らかで華のあり、舞台上でこそ輝くタイプ。今日の踊りはクリスマスを過ごす夢見る女の子、そして夢の中での理想の女性としての金平糖の精、それぞれのキャラクターがしっかりと踊り分けられていて良かったと思います。細かい演技面でもかなり作り込んでいて、来年のジゼルデビューがますます楽しみになりました。

王子役は新国といえばこの人、山本隆之さん。
端正で包容力溢れる、理想的な王子だったと思います。サポート面でも初役の本島さんをしっかりとささえていたし、やはり素晴らしいダンサーですね。

新しいメンバーがたくさん入った群舞も、この公演では総じていい出来です。特に雪のワルツのシーンでの揃い方は素晴らしいです。

東フィルによる演奏はまずまずの出来。柔らかい音色でクリスマスのおとぎ話を盛り上げています。ただ、ボリス・グルージンによる指揮は少しテンポが遅目。ダンサーも少し踊りにくそうだし、チャイコフスキーの素晴らしい音楽の良さがちょっと損なわれているようにも感じました。

さて、明日はいよいよ千秋楽。
22日に観た西山裕子さん&L.サラファーノフもいいペアなので、楽しみにしてます。

Blogの方はあまり更新してなかったけど、その間にもいくつかの公演を見に行ってました。

新国立劇場『カルミナ・ブラーナ』に全日行ったのは書いたけど、その翌週にはシュツットガルト・バレエ団の来日公演に行ってました。『オネーギン』と『ロミオとジュリエット』。ともに初日。

『オネーギン』は初見だった。まずはその衣装・美術の美しさに目を奪われる。レースをふんだんに使っていてとても豪華で繊細。色調も落ち着いたものが多くて、好みでした。特に気に入ったのは3幕でタチアーナが来ているブラウンのドレス。薄手の生地を何枚も重ねてあって、その透けて見える模様が美しかったです。オネーギン役はルグリ。この役を踊るのが夢だったというだけあって、かなりキャラクターを作り込んでました。ただ1〜2幕ではやや冷た過ぎだったかも。そのため3幕での変化が少々唐突に感じました。踊りの面では少し前に怪我をしていた影響か脚の筋肉が少し落ちたような気もしましたが、サポートは盤石だったし踊りも丁寧でした。でも彼以上に印象に残ったのはタチアーナ役のマリア・アイシュバルト。小柄ながら均整のとれた容姿と確実なテクニック、そして繊細な演技力を持ったダンサーでした。全3幕を見終わった時には、「これはタチアーナの物語だ!」と強く思ってしまうくらい、存在感溢れる踊り・演技でした(特に3幕最後のパ・ド・ドゥは印象的)。

『ロミオとジュリエット』は前回来日の際にも見た作品。その後何度もマクミラン版を見ているので、改めてクランコ版の特徴・良さを確認できた公演でした。というか、「クランコあってこそのマクミラン」という印象を強く感じ、改めてクランコのバレエ史上での影響の大きさが認識できました。
主役はフリーデマン・フォーゲルとアリシア・アマトリアンの二人。このコンビは、そもそも見た目がロミオとジュリエットにピッタリでとても若々しい。演技面で少々物足りない面もあったけど、総じて満足できる舞台でした。
ただ、前回公演ではキャピュレット夫人をマリシア・ハイデがやっていて、その強烈な印象が残っていたので、今回は「あっさり」したものに感じてしまったのも事実。まあ彼女は歴史に残る名プリマなわけで、仕方ないことなのかもしれないですけどね。

あと見に行ったのは先週金曜の「シルヴィ・ギエム 最後のボレロ Aプロ」。
印象に残ってるのは『ギリシャの踊り』の中島周くん。以前よりも体が一回り大きくなったように感じたし、踊りも伸びやかでキレイだった。『ドン・ジョバンニ』では大島由賀子さんが良かった。あとシルフィード役だった吉川留衣さん。妖精らしい現実感のない浮遊感が○。『ギリシャ〜』では群舞で出てたけど、その時も気がついたら彼女を見てた。品のあるキレイな踊りをしてるんだよね。今後に期待大です。『小さな死』は以前見たオレリー&ルグリの時と同じ作品とは思えないくらい違う印象。なんか「生々しい器械体操」っていう感じで情感とかは感じられなかったな。そして『ボレロ』。ギエムのは以前にシカゴ響との共演の際に見てるんだけど、正直あの時はオケが突っ走っていて作品としてはヒドイものだった(ギエムはよくあのテンポについていったな、と感心してしまった)。なのであまり参考にならないわけで、ある意味今回がちゃんとした彼女の初『ボレロ』鑑賞。彼女の踊りにはいつも「隅から隅までしっかり計算された確実さ」を感じるんだけど、この『ボレロ』ではそれだけではなく、「計算されたもの以上の何か」を感じた。普段はギエムに感心はすれども感動することはないんだけど、この時は感動に近いものがあった気がする(数日後のBプロでは実際に感動した。日々変化してるのかな?)。

というわけでざっと公演の感想を書いてみました。
とりあえずギエム公演の後はしばらくお休み。次は12月中旬の新国立劇場『くるみ割り人形』です。

でも、その間には演劇見に行く予定入ってますけどね。結局劇場通いは続くのです。

21日@東京文化会館

Bプロの演目は『テーマとヴァリエーション』『Push』『春の祭典』『ボレロ』。結構濃いプログラムです。

『テーマ〜』はバランシンの代表作の一つ。いかに音楽を感じさせるかが重要なんだけど、それが難しい。真ん中を踊った吉岡さんと木村さんはさすがにその辺はしっかり抑えていた。特に吉岡さんはキラキラ輝いていたな〜。でも後ろの群舞は音楽に乗りきれていなかった。後追いになっていてバラバラ。うーん、バランシン作品ってやっぱり難しいんだね。

『Push』はギエムが惚れ込んだ振付家マリファントの新作。マッシモ・ムッルとパートナーに、薄暗い照明の中、とんでもなく難易度の高い振りを淡々と、しかし緊張感を持って綴っていく。30分弱の間、ほとんど流れが止まることのない作品で、一度見ただけではとてもじゃないが消化できないものだった。とりあえず「凄い」としかいいようのない。でもちょっと最後の方はこちらの集中力が切れかかったかな。大きな盛り上がりとかなく、全編同じ抑制の効いたテンションで流れるからね。

『春の祭典』はベジャールの初期の代表作。ストラビンスキーの衝撃的な音楽を見事に具現化しかもので、東京バレエ団で見るのは3回目。生贄役の大嶋さんは群衆の中にいる段階から他の人とは異なるオーラを発していた。生贄となった極限の精神状態を見事に体現した踊りは、ホントに素晴らしかった。絶望に満ちた高揚感、そしてエロスも感じることができた。井脇さんの生贄は期待通りの安定した出来。この方にはもはや何も言うことはありません。一つだけ苦言を言うとすれば男性群舞。バラバラで中身の入っていない状態で、見ている客席のこちらまで、作品の持つパワーが伝わってこなかった。とりあえず決められた振りだから動いている、そんな状態だった。昨年末に大量に人が入れ替わったんだけど、その影響は大きいみたいだ。

そしてメインの『ボレロ』。金曜に見た時「これまでのギエムの『ボレロ』の中で一番の出来」と感じたのだけれど、今日はそのさらに上を行っていた。出だしの腕の使い方からまず違っていたし、途中でのリズム・ダンサーとのアイコンタクト、そしていつも通りのクールさの中から普段感じることのない内面の高まりもあった。何というか、ここまで自己の内面を、計算した上ではなく、さらけ出したギエムは初めて見たように思う。
これまで数えきれない程この作品を踊ってきたはずなのに、この数日間でここまで変化するというのも凄い。彼女の、今回の『ボレロ』ツアーに対する姿勢が表れているようだ。

一ヶ月に渡るツアーはまだ始まったばかり、一体最終日にはどのような『ボレロ』になっているんだろうか?

結局6日間の公演全てに足を運んだ。

見る前は「全日チケット買っちゃったけど、つまんなかったらどーしよー」と思っていたのだが、初日を見て「全日買っておいて良かった!」と安心した。そのくらい面白い作品。バレエ史上の記念碑的な作品ではないと思うけど、エネルギーに満ちた佳作だと思う。

2パターンのキャストで上演されたけど、どちらも魅力的だった。バーミンガム・ロイヤルバレエからのゲストである二人、S.ヒメネスさん&I.マッケイさんは、恵まれた体格と、振付への深い理解を持った明確な動きが素晴らしかった。対して新国キャストである湯川麻美子さん&山本隆之さんは、丁寧で繊細な表現と、新しいものにチャレンジしようとする意欲溢れた視線が魅力。日を追うごとに一つ一つの動きが明確になっていき、最終日は完璧ともいえる出来になっていた。

個人的に「お疲れさま!」と言いたいのは吉本泰久さん。アクロバティックで体力的にとてもハードな神学生2という役を5日間踊り通した。体のキレもよく、大きな拍手をもらっていたのも当然という気持ちです。
1日だけ神学生2を踊った新人・八幡顕光くん。研修所を修了〜入団してすぐの大抜擢ということで注目していたけれど、期待以上の素晴らしい出来。小柄ながら存在感ある踊りで、こちらも大きな拍手をもらっていました。今後も期待大です(来年のデュアド作品にも出演するらしいし)。

また今回は男性陣が奮闘。15〜6人で一斉に跳躍する場面は、やはり迫力がありました。
あと女性陣も含めてのことですが今回は衣装の着替えが盛り沢山。袖に入って2分で衣装チェンジ!ということが何度もあり、舞台裏はすごいことになっていたのでしょうね。

演奏は東京フィル、合唱は新国立劇場合唱団、独唱は佐藤美枝子(ソプラノ)、ブライアン・アサワ(カウンターテナー)、河野克典(バリトン)。みな質の高い音楽を聴かせてくれました。特に歌手陣の出来が素晴らしかった。

同時上演の『ライモンダ』第1幕夢の場は、『カルミナ〜』の前ということで印象がどうしても弱くなってしまうけれど、悪くない内容だったと思う。群舞は新人が7〜8名入っていたこともあり初日は物足りなさが残ったが日に日に良くなっていっていた。やはり練習を何度もやるよりも本番をこなしてこそ上達するものなんだな、と思った。

そんなわけで充実した公演期間だった。作品の持つパワーをまともに受けてしまったので、しばらくの間は『カルミナ〜』のメロディーが頭の中でリピートしそうです。

とはいいつつ、すぐにシュトゥットガルト・バレエ団の来日公演、ギエム公演と続くので、頭の切替で苦労しそうです。

2005-2006シーズン開幕となるこの『カルミナ・ブラーナ』公演、主に演奏会形式になることが多い作品だけに、客層はバレエだけでなくオペラ・クラシック音楽愛好家らしき人々も多く訪れていたように感じました。

まずあまり広くないオーケストラピットにオーケストラとピアノ、そして約60人程の合唱団が入っての演奏にちょっと驚き。合唱団はピットではなく他の場所に入るのかと思っていたけど、入るものなのね。

演奏会形式の場合でも聴衆を圧倒してしまうくらいパワーを持ったこの作品、そこに視覚としての舞踊が加わってさらに迫力が増していました。第1部「春」では移ろいやすい異性への恋心・愛を表現し、第2部では「居酒屋にて」では欲望をテーマにユーモラスなローストスワンで食欲を(性欲も含む?)、また男性陣総出演でウエストサイド物語のよな喧嘩シーンもあり。第3部「求愛」は売春宿を舞台にした性愛を表現。取り扱っているテーマは結構ドロドロしていると思うんだけど、品の良いユーモアとキビキビした動きによってそんなに重くはなっていません。

神学生1はグレゴリー・バリノフさん。端正で安定した踊りで良かったです。童顔なので恋心を抱く役の雰囲気に合っていました。神学生2を踊った吉本泰久さんは絶好調。アクロバティックなソロを完璧に決めたし、その他でもキレキレの動きを見せていました。神学生3はゲストのイアン・マッケイさん。踊りがとても大きくて風格あり。また、その鍛え抜かれた肉体美はまさに眼福。美しかったです。
運命の女神フォルトゥナはシルヴィア・ヒメネスさん。目隠し+ハイヒールという難度の高い振りも問題なくこなしていました。また何もしていない時でも目が引きつけられる存在感があるダンサーで、それが女神という役どころに威厳を与えていました。恋する女はさいとう美帆さん。やわらかで蝶のように舞う踊りで、移り気な恋心を体現していました。ローストスワンは真忠久美子さん。色気と豊かな表情とユーモラスは動きで存在感がありました。退場直前の表情は必見です。

その他のダンサー達も舞台上で踊り走り転がって、舞台に躍動感を与えていました。そういえば寺島姉妹が同じ衣装・踊りでペアで踊るシーンがあったけど、このバレエ団に入ってからこういう配役は初めてでは?

そんなこんなでとても楽しめた公演でした。私は全公演6日間行く予定ですが、たぶん何度見ても飽きることはないでしょう。終演後にチケット売り場に行列が出来ていたそうで、そう思ったのは私だけではないみたいです。

長いエントリー名だ...(^^;

バレエ研修所の研修生、しかも入所してからまだ半年ということで(研修期間は2年間)、とりあえずどういう個性を持っているのかと現段階での完成度を確認する気分で見に行ってきました。

2部構成になっていて、第1部はクラシックのバーレッスンとセンターレッスン、第2部はキャラクター・ダンスとスパニッシュ・ダンスでした。

まずは第1部。研修所の主任講師である豊川美恵子先生のもとでバーレッスン。この段階で一人抜きんでている子を発見。それは小野絢子さん。基礎技術がしっかり身に付いていて安定していたし、スタイルもキレイ(特に首のラインがロシア人のように美しい)。最初は他の子を見ていたんだけど気付いた後は小野さん中心に見るようになってしまいました。
バーレッスンの後はセンターレッスン。講師は佐藤勇次先生。この方の振りの付け方は独特で見ながらニヤニヤしてしまいました。ここでも小野さんは飛び抜けて安定。また音の取り方も素晴らしい(音が鳴ってから動くのではなくちゃんと先取りしてる)ことにも気付く。回転系になると結構元気になる子が何名か。

第2部、まずはキャラクター・ダンス。講師はゲンナーディ・イリイン先生(バレエ団ではシニア・アーティスト兼バレエ・マスターとして活躍)。会場と対話するように話を進めていって楽しめた。普段楽屋から出てくる時には物静かであまり感情を表に出さない人なので意外でした。ここで興味深かったのはキャラクター・ダンスのバーレッスン。かかとのあるダンスシューズを履いてのレッスンというのは初めて見た。その後マズルカ・スペイン・チャルダッシュ等のセンターレッスン。ここで何人かがクラシックの時よりも目立つようになった。見栄の切り方が上手いとか、当人の個性とかが関係してるのかな。

そして小島章司先生によるスパニッシュ・ダンス。まずはカスタネットの練習から入り、全体の振りにはいっていく流れ。カウントの取り方や体の使い方でまだ苦労しているように感じられた。

最後に研修生全員の一言挨拶で終了。

全体としての印象は「まだまだこれから」という感じ。ただ小野さんだけ別。実際複数で踊る場合はほぼ必ずセンターだったし、一人だけ観客を意識できていたようにも感じた。まぁ、みんなまだ若いし研修期間はあと1年半もあるので、今後まだまだ伸びていくでしょうね。あくまでも「現段階では」抜きんでている、というわけで。

1日に文化庁芸術祭オープニング『ジゼル 能とバレエによる』を見てきました。

第1部オープニング記念式典では、文化庁長官河合隼男氏による式辞、文部科学大臣の挨拶(副大臣代読)、皇太子殿下からのお言葉、森下洋子さん/中村鴈治郎氏による祝辞が述べられました。

第2部は能。ジゼル2幕の場面を能独自の作劇により再構成したもの。能についてはよくわからないのですが楽しめました(さすがに最後の方は集中力が薄れてしまいましたが...)。

第3部はバレエ。新国立劇場バレエ団の登場です。
ジゼル役は西山裕子さん。はかなげで美しいジゼルで、アルブレヒトへの深い愛情を感じることができました。山本隆之さんによるアルブレヒトも、とても叙情性がありサポートも安定していました。ミルタは厚木三杏さん。冷たく美しい役作りで、生あるものへの憎しみがとても強いキャラクターでした。威厳もあり、「孤高の女王」という感じでした。ハンスは富川祐樹さん。出番はあまりなかったので舞台に溶け込んでいたのかは微妙でしたが、踊りはキレイでしたね。群舞は新しいメンバー(研修所2期生)が入ってさらに平均身長が上がっていました。ただ新旧合同メンバーということで、全体のまとまりとしては今一つ。今シーズンは『くるみ』『白鳥』『ジゼル』と群舞の見せ所がある作品が多いので、新しいメンバーがどう馴染んでいくのかが重要ですね。

ちなみに第3部バレエの時のみ、雅子様がご観覧になられていました。入退室の際に客席から大きな拍手が出ていたのが印象的です。

東京バレエ団の『眠れる森の美女』公演に行ってきた。見たのは初日(小出領子&M.ルグリ)と最終日(上野水香&M.ガニオ)。小出さんにとっては初のオーロラ、水香ちゃんにとっては東京バレエ団で初のオーロラ。さてどんな感じになるかな、と期待と一抹の不安をもって劇場へ。

結論から言えば、小出さんは素晴らしいオーロラだった。若干堅さもあったけど、技術的にも内からにじみ出る気品、そして愛らしい雰囲気どれもがオーロラにふさわしかった。ルグリの経験に裏打ちされたサポートの上手さもあって、終始安定して踊っていた。決して派手なタイプではないけど、日本人らしい繊細な表現と奥ゆかしさが出ていて好印象。これからもじっくり見守っていきたいダンサーです(次は是非ジゼルを踊って欲しい!)。
そして水香ちゃんであるが、技術的な問題点は特になく、舞台上での存在感もしっかりあった。ただ醸し出す雰囲気がいかにも「作っている」風に感じられて終始違和感が残った。なんというか、「ものすごく上手な発表会を見ている気分」とでも言うのだろうか、踊りやキャラクターに奥行が感じられないのだ。この辺りは見方の違いや好みも大きく反映しているところだと思うので、彼女の踊りを「素晴らしい!」という人もいるだろうけど、私には合わないようだ。

ルグリは怪我明けということもあり、また年齢も年齢なので往年のキレはなくなっていたが、それでも決めるところはしっかり決めるし、王子らしい気品、物腰、そしてサポートの上手さと、どれもが光っていた。マチュー・ガニオはとにかく美しい容姿なので、何をやっても決まってしまう。まだ若い事もあり安定感はまだ足りないけれど、今の彼でしかだせない初々しさというものがある。彼も少し前に膝を怪我していたようで、ジャンプの高さや豪快さはなかったけれど、美しいのでとりあえず良し。

脇で目に付いたのは、リラの精の大島由賀子さん、銀の精の佐伯知香さん、猫組の門西雅美さんと高橋竜太さん(以上初日)、カラボスの奈良春夏さん、ダイヤの精の長谷川智佳子さん、サファイアの精の西村真由美さん、猫組の加藤文さんと平野玲さん、それからオーロラの友人役の吉川留衣さん。
もちろん初日カラボスの井脇さんは圧倒的だったし、4人の王子役で出ていたプリンシパル3人衆(高岸さん、木村さん、後藤さん)は別格なので略。あと小出さんがフロリナでも踊っていたけど、やっぱりキレイだったな。

それにしてもここの美術はどうにかなんないのかなぁ。さすがに古くさ過ぎだよね。衣装はまだいいんだけどさ。

結構初役が多くてどうなることかと思っていたこの公演、終わってみれば結構楽しめました。やっぱり期待できる新しい人が出てくると、ワクワクするからね。

土日に日本バレエフェスティバル@新国立劇場に行ってきた。

数年前にも一度入った事があるんだけど、その時と比べてちょっと盛り上がりに欠けた印象。
いい出来の人と普通の出来の人、そして悪い出来の人との差がとてもくっきりと出ていたかな。
とりあえずいい出来の人についてだけ書いておこう。

今回で引退となる志賀三佐枝さんの『ロミオとジュリエット』バルコニーのシーン(パートナーは山本隆之さん)。詩的で軽やかな彼女の踊りが見納めになってしまうのは本当に惜しい。彼女の踊りの良さが全て出た最後の舞台だった。

『ゴパック』を踊った岩田守弘さん。ボリショイで踊っているだけに、踊りが大きいのが特徴。豪快な跳躍と大技の連続で会場を多いに沸かせていました。

ルシア・ラカッラとシリル。ピエールの『プルースト』より「囚われの女」。モノトーンの舞台でとても静的な作品。二人のパートナーシップの良さも光り、とても面白かった。ラストの白い布が落ちるシーンはとても美しく印象的だった。翌日の『カルメン』もよかったけど、個人的にはこちらのほうが好み(ルシアはちょっとやせ過ぎでないかい?)。

島田衣子さんと逸見智彦さんによる『ラ・シルフィード』第2幕のパ・ド・ドゥ。佐々木陽平さんの急な降板を受けての即席コンビだったけど、サポートシーンがほとんどないこともあって大きな問題にはなっていませんでした。可愛らしく魅力的なシルフィード=島田さんと凛々しいジェームズ=逸見さんと、二人の良さがそれぞれでていたと思います。

『ライモンダ』第3幕パ・ド・ディスからの踊りを踊った宮内真理子さんと法村圭緒さん。宮内さんの芯の通った凛とした踊りが印象的。深窓の姫君にしては我の強そうなキャラクターでしたが(笑)、その辺りはダンサーの個性ということで。11月の新国立劇場バレエ団公演でのライモンダも楽しみになりました。

『内_uchi/外_soto』を踊った酒井はなさんと西島千博さん。出演日本人の中では唯一の非クラシック作品。見せ方をよく知っている二人だけに観客の目をしっかりと引きつける動き。また見てみたい作品でした。

下村由理恵さん、佐々木大さん、長瀬伸也さんによる『海賊』第2幕よりパ・ド・トロワ。正確な技術と豪快な技の連続で観客は大きく盛り上がりました。下村さんは踊りのアクセントのつけ方が心地よい。佐々木さんは急遽出演だったけど、持ち味の柔軟性とダイナミックな踊りが素晴らしい。3年前に見た時は不調だったので、ようやく好調な彼の踊りを見れたのが嬉しい。長瀬さんも高い跳躍と難易度の高い技で観客を魅了。カーテンコールで拍手が鳴り止まずに2回登場したのはこの組だけでした。

その他の出演者は簡単に。

土曜に『ドン・キホーテ』バジルを踊った菊池研くん。粗削りだけどとにかく観客を楽しませようという意欲が良い。課題もあるんだけど、若いんだからチャレンジ精神で頑張って欲しいね。

久しぶりに主役の踊りを踊る小嶋直也さんを見れた。急遽出演だったのでパートナーの島田衣子さんと合わせる時間がなかったようでサポートはいまいちだったし、体力もかなり落ちているらしく後半は流し気味ではあったけど、滞空時間の長い跳躍は健在。それを見れただけで結構満足だった。

もうお馴染のデニス・マトヴィエンコ。安定したテクニックに加えて、観客を喜ばせる見せ方も上手くなっていて大歓声だった。パートナーがアレだったけど、彼の出来は素晴らしかったよ。

とりあえずこんな感じ。
ちなみにザハロワ&ゼレンスキーの『若者と死』はなんか違和感があった。二人とも頑張っていたけれど、根本的に作品世界と合っていないんじゃないかな。だいたい両日ともラカッラの後にプティ作品を踊るというのがすでに大きなハンデだし。

それなりに楽しめた公演だったけど、来年は行かなくてもいいかなー。
正直そう思いましたです。

7/29(金)18時半開演。

見終わった後、なんかモヤモヤした気分になった。
2幕で寝ちゃったけど、ドンキで寝たなんて初めてだぞ!

正直、印象に残ったダンサーが3人しかいないのはどうなんだ。

バジルのホセ・カレーニョはちょっとお疲れモードだったけど、相変わらず端正で品があって素晴らしかった。ピルエットの軸は絶対ブレないし、演技もやり過ぎず薄過ぎず程良い感じ。絶好調ではないけれど、ちゃんと魅せてたね。プロだ。

ジプシーの踊りのエルマン・コルネホ。なんだありゃ。跳躍の高さ、体のしなり、回転、どれをとっても抜けていた。なんか「規格外」って感じの踊りだった。登場シーンが少ししかないのがとっても惜しい!もっともっと見たいぞ!

アモール(キューピッド)のサラ・レーン、とっても可愛くて踊りもキレイ。妖精のような現実感のない、透明感のある踊りだった。2幕はかなり眠かったけど、彼女が踊る時だけはばっちり目が覚めたくらい。

他はどーかなー。
キトリのジュリー・ケントは悪くは無かったし、主役らしいオーラももっていたんだけど、根本的にキトリ向きではないような印象。産休明けということもあり、踊りはちょっと流し気味だったし。まー、一応主役として頑張っていたのでいいかな。

エスパーダ、メルセデスのゲンナジー・サヴェリエフ&ヴェロニカ・パールトは...うーん、全然印象に残らなかった。サヴェリエフはゴメス怪我のため急遽代役だったんだけど、彼も病み上がりだったらしく、キレは全然なかった。前回来日の時は結構よかったんだけどね。パールトは...私の好みからは外れたタイプのバレリーナでした。なんというか、「重い」のよ。丁寧さもあまり感じなかったな。

キャラクテールは結構充実。
特にサンチョ・パンサ役のフリオ・ブラガド=ヤングは終始何かしらやっていて油断できない(笑)。なにしろカーテンコールの時までいろいろやってるんだから。
ガマーシュはギョーム・グラファン。パンフレットにある若かりし頃の2枚目写真からはとても想像できないくらい恰幅のいい姿だったけど(笑)、こちらも細かいことをいろいろやっていた。
ドン・キホーテ役はヴィクター・バービー。なんだかやたらと表情と感情の豊かなドン・キホーテだった。ああいうキャラクターだったっけ?騎士道精神とかは全然感じなかったけど、その辺りどーなんだろ?キトリ&バジルに味方してくれる、物分かりの良い老旅人くらいの役回りにしか思えなかったな。
ロレンソはアイザック・スタッパス。物分かりの悪いいかついオヤジ像だった。ガマーシュたちといろいろ絡んでいて、1幕では主役を見るか、脇の老人たちを見るかで迷った(笑)

で、冒頭の「モヤモヤ」の一番の原因はやはりコールド。もともとABTのコールドには大して期待はしてなかったんだけど、予想をはるかに下回る酷さだった。どこかの教室の発表会か?というくらい。よくもまあ、ここまでバラバラに踊れるもんだと感心してしまった。連日慣れない日本の環境で踊って疲れてるのはわかるけど、それにしても酷い出来なのは事実。「しばらくABTの全幕物は見なくてもいいかな」って思っちゃったよ。前回来日の時(『海賊』『メリー・ウィドウ』)にはそんなことは思わなかったんだけど...。

とりあえず今回のABTの来日公演は1回しか見に行けなかったけど、それで良かったかな、と思ってしまった。
ABTはスターシステムをとっているバレエ団。今回はそのスター(プリンシパル)に怪我人その他で結構な数が出演できなくなる事態になって、その弊害(舞台水準が一握りにスターに依存)がでちゃったのかな。

そんなわけで不完全燃焼に終わったABT観劇でした。。。

4日連続で上野に通い、ロイヤルの『マノン』を鑑賞。
濃厚な演技が主体の悲劇なので、見る前は「精神的にかなり疲れそう〜」なんて思ってたんだけど、終わってみたら「もっともっと見たーい」という気持ちになった。

初日はギエム/ムッル。
思いの外可愛らしいギエム、そのテクニックと身体能力はやはり驚異。視線の使い方がとても上手く、その時その時の感情がとてもわかりやすい。
ムッルは感情を内に秘めながらも、要所要所でそれが発露される。ただサポートに気を使いすぎて、表情が乏しかったのが気になった。

2日目はバッセル/ボッレ。
マクミラン直伝だけあって、とても明晰なマノン像をつくりだしたバッセル。特に2幕は絶品。気品と可愛らしさ、そして大人の色気を併せ持っていて、完成された踊り・表現だった。
ボッレは...うーむ、私は彼がどうやら苦手らしい。がっしりとした大柄な体、彫りの深い顔立ちと、ギリシャ彫刻のような風貌で美しいんだけど、特に心に響くものがない。この日の彼はかなりいい状態だったと思うし頑張っていたとは思うんだけど、やはり受け付けないものはしょうがない。そのためマノンとデ・グリューの間の愛情・葛藤もいまいち掴めなかった。
まあ、好みの問題だから仕方ないか。

3日目はコジョカル/コボー。
実は一番期待していなかった。コジョカルはとっても好きなバレリーナなのだが、その可愛らしい風貌から「ジュリエットはいいと思うけどマノンはどうかなぁ」と思っていたし。
だけどそんな不安は幕が開いたら吹き飛んでしまった。2幕での大人の色気や「魔性の女」的要素は薄かったけど、天性の「無垢な少女性」からくる魅力と、3幕での「完全な抜け殻」な姿に心を動かされた。あと5年くらいして、色気の使い方を身に付けたらものすごいマノンを見せてくれるかも。そんな期待を持たせてくれる出来でした。
そしてコボー。コジョカルとはずっと組んでいることもあって素晴らしいパートナーシップ。でも感動したのはそこではなくて、彼の演技力。デ・グリューの感情の動き・うねりが全て観客に伝わってくる大胆で繊細な表現。踊りをキレイに踊ることよりも、感情を伝えることを最優先にした踊りで、見ているだけで目が潤んでしまいました。いや、こんなに演技派だとは思わなかったです。

最終日はロホ/テューズリー。
ロホは前回のバレエフェスで見せてくれたようにテクニックがホントに素晴らしい。しかしそれ以上に彼女は「女優」として素晴らしいことを今回の舞台で見せてくれた。まず何より、全身からにじみ出る色香が「魔性の女」「ファム・ファタル」を表していて素晴らしい。しかも1幕では自身の魅力に無自覚なマノン像で、2幕ではその魅力を意識的に振りまくマノン像、その使い分けがまた上手い。ただ、3幕ではその色香が生命力にも感じられて、「沼地のパ・ド・ドゥ」での死が唐突に感じられた(ちなみにギエムの場合はあまりに力強すぎて唐突に感じた。バッセルとコジョカルは徐々に力尽きていく感じが出ていた)。
テューズリーはコープが病気で降板になったため急遽代役出演(たまたま来週の小林紀子バレエシアターの公演に出るために来日していた)。ロイヤル出身だし、以前新国立劇場でデ・グリューを踊っている経験も買われてのことだと思う(NBSは新国を敵視しているため当日配られたプロフィールにはそのことは記載していない)。新国で踊ったときは初役だったこともあり少々硬かったが、今回は伸びやかに踊っていた。調子も良かったように感じた。感情表現も激しくストレートに出していて好印象。体当たりでデ・グリューという役を演じていた。合わせる時間があまりなかったためか、ロホとのパートナーシップでは少々慎重になっていたところもあったがそれは仕方なしか。

主役以外では、3日目にレスコーを踊ったサモドゥーロフ。存在感、演技力、踊り、全てが高水準で舞台を盛り上げた。他の日のレスコーとは正直なところ格が違った(実際違うんだけど)。レスコーはこのくらいのダンサーでないと、この『マノン』という作品はホントの意味で盛り上がらないと思う。
4日目のホセ・マルティンも悪人面で雰囲気は出ていたけど、「妹への愛情」が薄かったな。1日目のディアゴ・ソアレスは雰囲気はいいんだけど踊りが不安定。2日目のリカルド・セルヴェラは童顔すぎてとてもマノン(バッセル)の兄には見えない。弟なら納得だったけどね。

ムッシューG.M.役は3人見たけど、個人的にはバッセルの日のクリストファー・サンダースが一番だと思った。いやらしさ、女性の脚へのフェティシズム(物語の時代を考えれば脚フェチは究極のエロ)、そして冷酷さのバランスがとれていた。彼に比べるとアンソニー・ダウエルは威厳がありすぎたし(貴族的すぎた)、ウィリアム・タケットは脚フェチ度が低かった(いやらしさは、、冷酷さは十分だったけど)。順番を付けるとすればサンダース>タケット>ダウエル。自分でもちょっと以外なランキングになりました。

レスコーの愛人役は3日目のサラ・ラムが良かった。あと最終日のマーラ・ガレアッツィも良かった。物語の本筋には絡まないけど、ソロで踊る場面は多いし演技力も必要とされる役なので、存在感が感じられないと舞台が締まらないんだよね。

乞食のかしらは断然に2日目のブライアン・マロニー。踊りの質が違いました。

マダムはエリザベス・マクゴリアン。威厳と品と打算がほどよく調和されていて大きな存在感。ジェネシア・ロサートは高級娼婦を仕切るマダムというよりは、普通の宿屋のおかみさんみたい。人が良すぎる感じがした。

看守はウィリアム・タケットとジャコモ・チリアーチを見たけど、前者の非人間的な冷酷さが素晴らしかった。後者はもっと世俗的で、自分の欲望をストレートに出していた。いい感じではあったけど普通の悪党と言う感じ。

あと紳士役で出ていたエドワード・ワトソン。先日プリンシパルに昇っただけあって、ホントに美しい踊りだった。何人かで踊っていても彼に目が吸い寄せられる。彼の主役を見てみたい気持ちになりました。

そんなこんなで、総じて満足できた『マノン』公演。
満足度では3日目>4日目=2日目>1日目。これまた当初の予想からすると意外な感じ。3日目(コジョカル/コボー/サモドゥーロフ)は、舞台全体のバランスがホントに良かった。誰が突出するでもなく、全員で一つの物語を作っていた印象。全幕ものはそういうのが好みみたい。

ま、見た人によって印象はそれぞれ違うと思うけど、とりあえず自分の印象は上記のような感じ。いろいろ掲示板とか感想日記とかを探して見てみてるけど、いろんな感じ方があって面白い。それがまた舞台の魅力なんだよね。

濃密なロイヤル祭が終わったので、ちょっと気が抜けてしまいました(笑)。来週はABT(アメリカン・バレエ・シアター)公演があるけど、なんかもうどうでもいい気分(^^;

しばらくエントリーしてなかったけど、来日中のロイヤル・バレエ公演はもちろん見に行ってました。『シンデレラ』は初日、3日目、最終日の3回見に行きました。

初日はアリーナ・コジョカル降板によりダーシー・バッセルがタイトルロール。
それに伴い、王子役はヨハン・コボーからデヴィッド・マッカテリに変更。

コジョカルは新国での『マノン』『ロミオとジュリエット』に続いて日本で3回目の降板。
縁がないんですかねー(ガラ公演なら見たことあるけど)。

3日目は日本初登場のロベルタ・マルケスとイヴァン・プトロフ。
そして最終日は吉田都とフェデリコ・ボネッリ。

やっぱり一番良かったのは吉田都さんでしたね。
健気で夢見る少女で、キラキラ輝いていました。会場も異様に盛り上がり、カーテンコールは異例の長さに。客電がついても帰る人はほとんどいなくて、1階席はオールスタンディング状態。都さんはレヴェランスの時に涙ぐんでいましたし。
『シンデレラ』で目頭が熱くなるとは思いませんでしたよ。ホントに素晴らしい舞台でした。

ダーシーは、とっても威厳のあるシンデレラ。1幕の灰かぶりのグレー衣装状態でも、気品に満ちあふれていました。なので、2幕舞踏会ではもうはや女王のような存在感。相手役のマッカテリが身長はあるけど地味なタイプだったので、彼女一人で盛り上げていたという感じでした(正確には彼女+義理の姉二人)。

マルケスは、明るく等身大の女の子で、不幸を不幸とも思わない朗らかなシンデレラ。細かい踊りや難しいところなどは勢いでこなしていた感じはあったけど、おとぎ話の夢物語感はよく出ていました。気品はまだまだだったけど、これはこれから少しずつ身につけていってくれればいいかな。まだ若いし。

アシュトン版『シンデレラ』といえば義理の姉二人。男性キャラクターダンサー二人によって怪演されるこの役どころ。往年の名ダンサー、サー・アンソニー・ダウエルとウェイン・スリープが主役顔負けの存在感を出していました。下手すると「えげつない」感じになってしまうんだけど、その辺りは程よく加減してあって、物語のメリハリを出していました。

他では道化役のホセ・マルティンが楽しげに美しく踊っていました。最終日はコールドの女の子にいろいろちょっかいを出していて遊んでいましたけど(笑)。四季の精は振付が難しく、なかなか満足できるレベルの踊りはなかったけど、サラ・ラムとローレン・カスバートソンはいい印象でした。

舞台美術と衣装はちょっと不満足。場面転換の音は五月蝿いし、重厚感とおとぎ話の雰囲気にかけていたように思った。新国に譲った以前のセットの方が私は好きですね。

あといつもいろいろ書いているオケ。今回は東京シティ・フィルだったけど、木管がいまいち。金管は比較的なっていたとは思うけど、プロコフィエフの難解な節回しに木管部隊が苦労していたように聞こえました。

さてと、今日からはアシュトンにならんでロイヤルが誇るマクミラン振付の『マノン』が始まります。いよいよギエム登場。日本で彼女の古典全幕物を見れるのは最後だと思ってるので、とっても楽しみです。では、行ってきますー!

7/2(土)の公演。
新国立劇場バレエ研修所1期生の本島美和さんがオペラ劇場での初主役となった舞台。

3月に中劇場で上演された『カルメン』で素晴らしい主役デビューを飾った彼女が、今回は大きなオペラ劇場で古典作品の主役を踊った。入団以来ずーっと贔屓にしてきたダンサーなので、幕が上がる前から応援モードに入っていて勝手にドキドキしていた(笑)。

幕が開いてバルセロナの街の広場。そこに登場した本島さんは周囲をぱっと照らすような笑顔と雰囲気を持った、街中のみんなから愛される人気者キトリだった。バレエ団生え抜きの初主役、しかもシーズン最終日ということもあって舞台のテンションはとても高かった。さすがに硬さが見える時もあったが踊りで目立ったミスもなく、得意のマイムでは表情豊かに物語を盛り上げていた。

2幕酒場のシーン。少し落ち着いてきたのか慣れてきたのか、全体的に余裕が出てきた。そして2幕の森の場面。キトリから幻想の中のドゥルシネア姫へと踊り分けをするのはなかなか難しいのだが、これが予想以上によい出来だった。静かで柔らかく優雅な踊りで舞台に花を添えていた。

そして3幕のグラン・パ・ド・ドゥ。軸がとても安定し、かつ余裕のある踊りだった。ヴァリエーションでは小気味のよい、切れのある踊り。グラン・フェッテも前半はシングル→シングル→ダブル、後半はシングルでとても安定感があった。スピードも十分。客席からは大きな拍手がおこっていた。

結果としては大成功だった古典全幕デビュー。もちろん課題はまだまだあるんだけど(踊りと踊りの繋ぎの部分とか、アクセントをつけるなどして観客へのアピールをもっとはっきりさせるとか等)、ある意味これがスタート。来シーズンは『くるみ割り人形』と『ジゼル』での主役が決まっています。今後はますます楽しみになってきました。

それにしても、彼女の新国デビューである『シンフォニー・イン・C』(第2楽章コリフェ)の時に、その踊り方の「間」とか「バネ」等を見て「将来的にはキトリで見たいなぁ」って思った自分の目はなかなか確かだったなぁ(←自画自賛)。でもその機会がこんなに早く来るとは思ってなかったです。ちょうどバレエ団の世代交代の時期ということも大きな要因のひとつでしょうけどね。

世代交代といえば、シーズン最終日だったのでこれが最後にバレエ団を去るダンサーが何人もいました。例えばソリストの大森結城さん。今回はギターの踊りと街の踊り子で安定感のある素晴らしい踊りを披露していましたが、来シーズンは契約ソリスト→登録ソリストとなります。完全に出なくなるわけではないと思いますが、見る機会がかなり少なくなってしまうのは寂しい限りです(新国に通うようになって、主役以外で最初に憶えたダンサーが大森さんだったこともあるので)。
コール・ド・バレエでもベテランの何人かは抜けるようです(契約更新せず)。来シーズンは研修所2期生を始め11人(女性7名、男性4名)のコール・ドが入団するからなんでしょうね。開場から8年が経っているわけですから、こういう世代交代があるのは仕方ないのですが、やっぱり寂しいですよね(ちなみに2期生はすでに前回『眠り』から普通に出演しています)。

さて、話を昨日の舞台に戻して。
バジル役の逸見さんは、バジル(街の床屋)にしては気品がありすぎましたが、初役のパートナーを頑張って盛り立てていました。途中サポートでちょっと危なっかしいところもあったけど、かなり丁寧にやっていた印象です。キトリに対しては優しい年上のお兄さんという感じのキャラでした。ま、年齢を考えるとそのままなんですけどね(^^;

群舞は相変わらず絶好調。あるダンサーに聞いたところ、やっぱり演奏は「めちゃめちゃ速かった」そうですけど、それでもあれだけ揃ってるのは見事です。街や酒場での賑やかしも楽しくて、ついつい主役ではなく周りに目が行ってしまいました。特に楠元さんと難波さんによる、エスパーダへの「黄色い声援」はツボでした(笑)。

ソリスト陣では森の女王役の寺島ひろみさん。相変わらずキラキラと輝いていて美しいです。身体能力に優れ、かつテクニックもあるので今後はますます期待です。あと、第1ヴァリエーションを踊った西山裕子さん。なんだかここ最近の安定感と情感はどうしたんでしょう。踊りにも以前よりも芯が通っていて見ていてとても心地よい。あと先にも挙げた大森さん。来期登録になってしまうのがホントに惜しいと思わせる出来でした。

今回の公演では名物である馬(ドン・キホーテ登場時に馬に跨がって出てくる)がいなかったのですが、これはオペラ『蝶々夫人』と同時並行の上演だったので、舞台裏に厩舎を造る余裕がなかったためのようです。あの馬が出てきた時の会場のドヨメキが好きだったんですけどねぇ(笑)。次は是非出してくださいませ>馬

これで2004-2005シーズンの新国立劇場バレエ団の公演は終了。来シーズンは10月の『カルミナ・ブラーナ』から始まります(同時上演は『ライモンダ』1幕の夢の場面)。新国ファンとしてはながーい中断期間です。うーむ、禁断症状がでてしまいそうだ...。

そろそろラストスパートに入った新国ドンキ。
今日は酒井はなちゃんと山本隆之さん。

はなちゃんのキトリは新国ファンにとっては語り草となっている3年前の舞台の印象がとても強い。そのため期待値はものすごく高くなってしまっているのが、ちょっと可愛そうな気もする。

今日は1幕は良かったけど、2幕以降少し調子を落としていた。だんだん軸が定まらなくなっていった感じ。それでも決めるところはしっかり決めるのがはなちゃん。3幕のグラン・フェッテは「シングル(扇=閉)→シングル(扇=閉)→ダブル(扇=開)」を軸はぶらつきながらも最後まで通して、大きな拍手をもらっていた。
演技面ではキャラクター的にもキトリは合っているので、ころころと表情を変えてバジルとやりとりをしていた。ただ、2幕の森の場面では、調子が落ち気味なせいもあって、ちょっと硬かったかな。まあ「お姫様」っていうキャラじゃないせいもあるだろうし。
そんな感じだったけど、全体としては満足いく踊りを見せてくれました。最近は登場機会が減っているけど、もっともっと見ていたいダンサーです。やっぱり名前の通り「華」があるんだよね。

バジル役の山本さんは、脚を傷めてるらしいんだけど、そんなことを感じさせないようなキレイな踊りを見せてました(負担の少なくなるよう少しアレンジしていたし)。キャラ的には「街の人気者」というのがすごく合っていて、作品に溶け込んでました。1幕での片手リフト2連続の場面では、微動だにしない素晴らしい安定感を見せて大きな拍手。いやー、すごかったな。はなちゃんとのコンビも息が合っていて、安心して見れいられました。

コールドは相変わらず出来がいいです。早いテンポのオケにもまったく遅れることなく、しかも揃っているのが素晴らしい。

さて、明日はいよいよ最終日。ご贔屓の本島美和さんが登場です。初の古典主役、どうなるかな?

6/29(水)。珍しい水曜公演。
主役は厚木三杏さんと貝川鐵夫さんの初役コンビ。

最初は少し硬かったけど、だんだんとほぐれていって3幕ではとてもいい出来に。サポート面で少しバランスが崩れることがあったけど、初コンビで初役ということを考えると、まあしょうがないかな。

個人的にはもう4年ほど貝川さんを応援しているので、今回の古典物初主役でかなりドキドキしてしまいました。1幕の片手リフトで最初失敗したけど、2度目は微動だにしないくらいキープして頑張ってました。3幕では余裕が出てきたのかサポートもうまくいってたし、本人の踊りも切れてました。もともと長身でラインがとってもキレイな人なので、今後も頑張って欲しいなー。
厚木さんは思いのほか可愛らしいキトリ。ながーい手足をテキパキと使って、小気味のいい踊りを見せていました。

今日は気合いが入っていたので1階正面前の方だったので、舞台美術の上の方を初めて見れました。こんな美術だったのねー、キレイだなー、と幸せな気分になりました。

さぁ、明後日ははなちゃん&山本さんだ。
とっても期待してます!楽しみ!

26日(日)の公演。

キャストは全て前日25日と同じで、全体的な出来もほぼ同じ。
違ったのは二日連続キトリのザハロワが少し疲れ目だったことと、逆にウヴァーロフがさらに調子を上げていたこと。そして音楽がさらにペースアップしていたこと。なんでみんなそんなペースで踊れるんだろう。コールドなんか踊れてるだけじゃなくて、きっちり揃ってたし。

やっぱりNHKのテレビカメラが入っていたのが原因なんだろうか?ちなみに日曜の公演を8/21(日)に教育テレビの「芸術劇場」にて放送予定だそうです(25日は予備撮影日)。

28日(火)の公演。

古典版『ラ・シルフィード』を下敷きに、マシュー・ボーンが現代を舞台に再構成した作品。代表作『白鳥の湖』を彷彿とさせる場面や踊りがあったり、また展開もスピーディーなので飽きることなく楽しめます。

古典版を知っているので、見ている時は目の前の舞台と古典版とを比較しながら、「あぁ、この場面をこういう展開にしてるんだー」と感心していました。酒・ドラッグなど、現代病的なアイテムと軽やかなクラシック音楽とのギャップがまた面白い。ウィル・ケンプを始めとするダンサーの質も揃っていて、踊りの面だけで見ても見事な舞台。

オススメの作品ですよ。

先週の24日(金)に見に行ったモーリス・ベジャール振付による大作。

上演時間が休憩含んで5時間近くになるので、ダンサーだけでなく観客も体力的に大変な作品。オペラでは4日間をかけて上演される題材だけど、ベジャールはこれを上手くまとめていました。

『ニーベルングの指輪』のストーリーは大雑把にしか把握してなかったけど、「弁者」(ミカエル・ドナール)の存在と字幕により、展開に置いていかれることはなかった。音楽はオーケストラ録音、そしてピアノだったんだけど、ピアニスト(エリザベット・クーパー)がただ音楽を奏でるだけでなく、舞台上の出来事にかなり強く関わっていたのが新鮮。

マラーホフ演じるローゲは要所要所に狂言回しのように登場し存在感を出していた。彼は「王子役」がはまり役の一つだけど、こういう皮肉な視点を持ったキャラクターもお似合い。というかこっちの方が伸び伸びと踊ってたような印象。

神々の中ではヴォータン役のアルテム・シュピレフスキーの身体能力が目立った。特に2幕のブリュンヒルデとのパ・ド・ドゥは素晴らしかった。筋肉ムキムキの上半身をあらわにした衣装も○。またフリッカを踊ったディアナ・ヴィシニョーワも、2幕で圧倒的な威厳を出していた。ドンナー役のマルチン・クライエフスキーは見せ場は少なかったものの、いい踊りでアピールしていた。

小人族アルベリヒ(マルティン・プチェコ)とミーメ(ディニュー・タマツラカル)はともに個性的な役を好演。特にアルベリヒはかなり体力を使いそうな踊りが多かったけど、最後まで良かったです。

ブリュンヒルデはナディア・サイダコワ。黒い衣装の時よりも神性を剥奪されて白い衣装になった後の方がより印象的。物語のヒロインとして、素晴らしい踊りをしていたと思います。

ジークムントとジークリンデはイブラヒム・ウェーナルとポリーナ・セミオノワ。とくに後者の出来が素晴らしかった。ながーい手足を目一杯使った踊りは舞台に映え、観客の目を釘付けにしていました。

あ、フンディングを踊ったロベルト・ヴォラートも良かったです。さりげなく難易度の高い踊りをこなしていました。

ジークフリートは子供時代をマリアン・ヴェルター、青年時代をミカエル・バンツェフ。二人ともとても良かった。前者は童顔なためとても若々しい印象で踊りの質も軽やか。後者はもっと力強く、「英雄」としての存在感もあったと思います。ちなみに見た目はルグリにちょっと似ていたね。

そのジークフリートを殺すハーゲンはヴィスラウ・デュデク。彼も身体能力が高くスタミナもあって素晴らしい。敵役としても印象的な存在だった。

ちょっと日が空いてしまったので各人についての一言感想という形になりました。
見終わった後は、「何だか凄いものを見た」、そういう衝撃でぼーっとしていました。こんな大作を作り上げてしまうベジャールの凄さを、改めて認識した次第。

それにしても上演時間5時間弱は長かった。内容が充実しているので、そうそう飽きるということはないんだけど、それでも何回かは意識が遠くなってしまったし。

それでもまたそのうち見てみたい作品ですね。そうそう上演されることはないだろうけど。

2004-2005シーズン最後の演目『ドン・キホーテ』初日。

前回『眠れる森の美女』に続いて今シーズン3度目の登場のS.ザハロワとA.ウヴァーロフ。前回は調子がイマイチだったのですが、今回は二人とも素晴らしい出来でした。ザハロワはメリハリの効いたテキパキした踊りながら愛嬌があり、ウヴァーロフは安定したサポートとダイナミックな踊りで観客を魅了していました。二人の息も合っていて、1幕の片手リフトの場面は2度ともバッチリ決まり、ザハロワが上で扇子をパタパタやる余裕もありました。二日連続での出演ですが、明日もこの調子で頑張って欲しいですね。

エスパーダ役はI.ガリムーリン。ベテランらしく破綻なくきっちり踊ってましたが、さすがにそろそろきつくなってきたかな?と思わせるところもありました。というかちょっと太かった...。街の踊り子は真忠久美子。キレイだし雰囲気もいいんだけど何か芯が通っていないような印象。素材としてはとてもいいものをもってるので、何か「もったいない」と思ってしまう。

キトリの友人二人は遠藤睦子さんに西山裕子さん。二人とも安定していたし、マイム部分も問題なし。特に西山さんはラインは美しいし踊りも軽やかで華やかだった。

2幕森の場面、森の女王は川村真樹さん。清楚で凛とした踊りがとっても好み。派手さはないけど、いいダンサーですよ。キューピッドはさいとう美帆さん。彼女の愛らしい容姿と確実な技術がピッタリ合っていた。いいキャスティングです。

3幕のヴァリエーションでは寺島ひろみさんと本島美和さんが登場。寺島さんは前回『眠り』以降、「お姫様」モードがオンになったのか、踊りがキラキラと輝いていた。出来も素晴らしく、大きな拍手をもらっていました。本島さんは来週キトリを踊る前の足慣らしか。大過なく踊ってました。来週はどういうキトリになるのか楽しみです。

その他では酒場の場面でギターの踊りを踊った大森結城さん。しっとりとした踊りを踊らせるとホントに上手い。カスタネットの使い方もバッチリで素晴らしかった。メルセデスは湯川麻美子さん。こういうキャラクテール役はとってもお似合い。色気と華やかさ共に表現できていました。

群舞の出来はかなり○。今日は音楽が異様に早かったんだけど、遅れることなく全員がピッタリと揃っていた。また無味乾燥ではなくとても楽しそうに、朗らかな雰囲気を出していたし、見ていて爽快感があった。この調子で頑張ってください。

オケは東京フィルハーモニー管弦楽団(指揮ボリス・グルージン)。上にも書いたようにテンポは早めだったが、演奏自体はとても良かった。いつも必ずやらかす金管も今日はとてもよく響いており「なんだ、やればできるんじゃん」って思った(笑)

明日も同じキャスト。2日連続だけど、みんな頑張ってねー。

来日中のベルリン国立バレエ団の『ラ・バヤデール』を見に行ってきました(於東京文化会館)。

世界的人気ダンサーであるウラジーミル・マラーホフが芸術監督に就任して話題になっているこのバレエ団、どんなものが以前から気になっていたのでした。

ニキヤを踊ったヴィシ、正直あまり好きなタイプのバレリーナではなかったのですが、以前感じた強すぎるアクが取れてきて、違和感を感じなくなってました。世界バレエフェス等でマラーホフと踊った時は「マラも大変だなー」って感じで見てましたが今回は結構息が合ってましたし。ただ、ニキヤという役としては色気がありすぎるかも(^^;

マラーホフはさすがに全盛期を過ぎた感が...。それでも無音着地とか柔軟性とかラインの美しさ、サポートの上手さはさすがです。芸術監督&ダンサーという二足のわらじ状態なので、ダンサーとして踊りに全神経を回せないのがツライかも。
あと彼の「王子様」キャラがソロルに合っているのかは...微妙です(^^;

ガムザッティはベアトリス・クノップ。手足が長くて抜群のテクニックがある、クールビューティなバレリーナ。ソロルに対しての愛情よりも、ニキヤに対するライバル心がやたらと強かった気がします。残念なのは、ヴィシと並ぶとどうしても「華やかさ」に欠けるところ。まぁヴィシと比べるのもアレなのですが、ちょっとキャラが地味かな。テクニック面では全然問題がなかったです。レベル高し。

この作品の中では重要な存在の群舞。
うーん、正直大したことなかったですね。全然揃ってないし、動きが雑だし。「影の王国」の場面なんて楽しみにしてたのに眠くなっちゃったくらいですよ。ヴァリエーションみたいな、個人で踊るところはいいんですけどね。
出来て(合併してから)から間も無いということの影響なんでしょうかね。

あ、男性陣は結構上手い人がたくさんいたと思います。一緒に踊ると揃ってないのは女性陣とあまり変わらないですけどね(笑)

美術面では、最後の寺院崩壊が面白かった。照明が効果的に使われていて、ホントに崩れてるように見えましたからね。

ただ照明に関しては、他のシーンではあまりいい印象がありません。特に「影の王国」では、なんだか中途半端な横からの光があったり、全体を照らす照明が暗すぎたりと、眠いながらも心の中でツッコミを入れてました。

音楽(アレクサンデル・ソトニコフ指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団)ですが、手元にあるCD(J.ランチベリー編曲)とは違う曲、同じ曲でも違うアレンジが多くて、少し違和感がありました。なんか平面的な音だったなぁ。

そんな感じで見終わった後の感想は「悪くなかったし、面白いところもあるんだけど、なんかモヤモヤしたものが残った」というものになりました。

さて、この公演から1ヶ月間、見に行く公演が目白押しの「バレエ月間」が始まりました。手元にあるチケットは、今日の分を含めて18枚!果たしてちゃんと仕事ができるんでしょうか。ちょっと不安です。

久しぶりのKバレエ観劇。お目当てはゲスト出演の中村祥子さん(ウィーン国立歌劇場バレエ団ソリスト)。昨年のローザンヌガラで見て以来、「次に日本で踊る時には絶対に見に行く!」と思っていたバレリーナなので、期待に胸を膨らませて会場である五反田ゆうぽうとへ行きました。

ここの『白鳥の湖』は、通常オデットとオディールを一人のバレリーナが踊り分けるところを、2人のバレリーナがそれぞれ踊るという珍しいバージョン。今日の中村祥子さんはオディール役(昨日はオデット役だった)。そんなわけで3幕からの登場だったので感想は後述。

白鳥オデット役はバレエ団のプリマの一人、康村和恵さん。手足が長く、細身のラインが美しい。ただ白鳥の繊細さはあっても優雅さはあまりなく、なんだかサバサバした印象。王子との間にも愛があるようには見えなくて、そのため物語に説得力が感じられなかった。ちょっと残念。

王子ジークフリート役は、若手の芳賀望くん。初役ということで序盤は少し緊張していたのか、目測を誤ったりもしていたけれど、だんだんと伸びやかな踊りになっていった。脚のラインがキレイだし、テクニックは熊仕込みのキレがあった。演技面はまあ初役だから少し甘い面もあったけど、一途さとかは感じられた。今後に期待ですね。

そして黒鳥オディールの中村祥子さん。いやーもう、
圧倒的でしたよ、ホントに。彼女の動き一つ一つに視線が釘付けになってしまい、他の人が何やってたかなんて全然憶えていないくらい。表情の作り方、指先まで行き届いた細やかな役作り等々、他の人とはレベルが格段に違うのがはっきりと分かりました。バレエに詳しくない人が見ても一目瞭然だったと思いますよ、えぇ。

次はもっと普通の、オデット/オディールを一人二役でやる定番の演出で見てみたいなぁ。Kの演出はこれはこれで面白いんですけど、変化球な印象が強いので(振付とかつっこみたいところはいろいろあるんだけどね)。

正直、他の人の踊りとか群舞とかの印象はあまり残ってません。全て祥子さんで上塗りされてしまいましたから。でもそんななかでも王子の友人ベンノ役のアルベルト・モンテッソは良かったですね。彼は先日のギエムの公演にも出演していたのですが(『田園の出来事』でボールを使って踊る養子役)、やはりそれだけの実力と経験の持ち主なのですね。


さて、次のバレエは少し間が空いて6月後半のベルリン国立バレエ団&新国立劇場バレエ団です。12日間で8公演というハードスケジュールなので、頭がこんがらかりそうですね(^^;

先週のAプロに続いてBプロを鑑賞。
演目は『三人姉妹』『カルメン』『田園の出来事』の3つ。
http://www.nbs.or.jp/stages/amours/index.html

ギエムが出演したのはそのうちの『カルメン』を除く2つ。決して派手な作品ではないけれど、それだけに演技力と流れを壊さない技術力が必要。ギエムはそのどちらも兼ねていて、至極自然に物語の中に入っていける。"バレリーナ"、"ダンサー"というよりも"女優"ギエムの舞台であった。

『三人姉妹』でのパートナーはニコラ・ル・リッシュ。ダイナミックな踊りとしっかりとしたサポートが素晴らしい。

『田園〜』ではマッシモ・ムッル。優男風の外見が作品設定によく似合う。すらりとした長身でラインが美しい。

その他では何といっても『三人姉妹』でクルイギン役のアンソニー・ダウエル。サー(Sir)の称号を持つ往年の名ダンサーによる表現はきわめて繊細で奥深い。ほんの少しの仕草や目線の動かし方で、人物の感情を見ている人全てに伝えることが出来る。ホントに偉大な方ですよ。

『田園〜』で養女役で抜擢された東京バレエ団の小出領子。可愛らしい外観と高い技術力で作品世界にしっかりと溶け込んでいました。夏にはルグリと『眠り』を踊るし、いよいよバレエ団の顔的存在になってきましたね。

残りの一つ、『カルメン』はアルベルト・アロンソ振付による、物語のエッセンスを凝縮した作品。以前東京バレエ団による上演を見ているので、どうしてもそれぞれの役にその時のダンサーのイメージがかぶってしまう。ホセ登場の時は首藤康之が出てきたように感じてしまったし、ツニガでは後藤晴雄を思い起こした。また、春に新国立劇場バレエ団による『カルメン』(石井潤振付)を見ていたため、音楽によってはそちらが浮かんできてしまった。それでも、以前よりも『カルメン』という作品について知識が増えていたので、楽しんで見ることが出来た。

3つの作品があったわけだけれど、それぞれ面白かったし楽しめました。個人的には『田園の出来事』が良かったなぁ。95年のロイヤルバレエ団来日公演の時に見て以来10年振りだったんだけれど、その時はまだこういう作品を楽しめるほどバレエを見ていなかった。でも今回はとても面白かった。10年間で、バレエに関する知識は格段に増えたし、見方の幅もかなり広くなったためなんだろうな。そういう意味では、今回のギエム公演は「玄人向け」なプログラムだったと思う。

そんなわけで7日間で6公演を見るというバレエ週間も一段落。
月末のKバレエの『白鳥の湖』まではしばらくお休みです。

公演最終日。寝坊のためギリギリで会場入り。まだ昨日の余韻が残っている。

本日のオーロラ姫は真忠久美子。手足が長くスタイルに恵まれたバレリーナ。ただ今日は最初のローズ・アダージョで軸が定まらずにふらついたりして調子はイマイチの様子。表情もマイム中心のところではいいんだけど、難しい踊りになると素に戻ってしまうなど、振付を自分のものにはできていなかった印象。3幕になってようやく持ち直したけど、そんなわけで物足りなかったですね。
山本隆之のデジレ王子は抜群に安定していました。パートナーが不調ということでサポートもかなり気を使っていて丁寧だったし、王子としての品格もますます磨きがかかっていた。以前はどうしても"現代の若者"にしか見えなかったのですが、ここ数年で気品と風格が公演を重ねる毎に増してきた。頼もしい限りです。

他のキャストはほぼ昨日と同じ。アクリさんのカラボスは昨日よりは控えめだったかも。イリインさんの王様は貫録があってマイムも自然。リラの精の西川さんは昨日よりも柔らかさが出てきていて好印象。ダイヤモンドの精の西山さんは役名の通りキラキラ輝いていました。

特筆すべきは群舞の出来の素晴らしさ。見に行った4日間を通じて、高水準の踊りを見せてくれました。個人的には2幕夢の場面がお気に入りです。軽やかで音楽性に富んでいて、見ていて幸せになれる群舞でした。

オケは公演を通して満足の出来る演奏。特に2幕間奏曲でのバイオリンソロ(コンサートマスターによる)は秀逸でした。

この『眠れる〜』って上演時間が休憩込みで3時間半と長丁場なので、見ているだけで結構疲れるんですよね。でも登場人物も多いし舞台美術/衣装も豪華だし、見終わった後の満足感がとても高い作品です。

さて、新国の次回公演は6月末の『ドン・キホーテ』。底抜けに楽しい作品だし、初役も多いので期待しています。

GWの谷間の平日ということで、空席もそこそこあった今日の公演。でも中身はとーっても濃い舞台でした。

なんといってもこの公演が現役最後の全幕主役となる志賀三佐枝。基本に忠実で安定した技術を持つバレリーナとして、これまでいろんな舞台に立ってきました。最後となるオーロラはどんな感じになるのか...。そう思っていましたが、実際幕が上がると軽やかで何かキラキラした、奥ゆかしいお姫様がいました。技術的にはまったく危ない箇所はなく、「これで引退なんてもったいない...」と思わせる踊りでした。なんかこのバレエ団で一番踊れるのは実は志賀さんなのでは...と感じました。
本人は「一番いいときにやめる」と新聞で語っていましたが、まさにそういう舞台となりました。
終演後、カーテンコールで長年の師である牧阿佐美芸術監督と抱き合っている姿は、見ているこちらの目頭が熱くなりました。
いい舞台をありがとう。お疲れさまでした。

彼女にとって最後の「王子様」となったのはデニス・マトヴィエンコ。2日前の好調さそのままに、高いテクニックと安定したサポートで志賀さんを支えていました。今日はいつも以上に丁寧なサポート、そのおかげもあり、とてもいい舞台になりました。

リラの精は西川貴子。個人的にはあまりリラには向いていないように感じました。もともとテクニック系には強いのですが、舞台全体を優しく包み込むような雰囲気をだすのはどうも...。『ジゼル』のミルタのように冷たく君臨するのはいいんですけどね。

青い鳥のグレゴリー・バリノフは◎。高い跳躍と余裕のある安定した踊りはいつ見ても素晴らしい。愛くるしい笑顔もあいまって、とても楽しい気分になりました。フロリナ王女のさいとう美帆は、無垢で素直な踊り。透明感があってキレイでした。

カラボスはマシモ・アクリ。相変わらずこの人の演技は濃くてアクが強い。それも陽性のアクなので、暴走すればするほど面白い。大好きですよ、この方。

今日は座席が2階バルコニーという舞台にとても近い場所だったので、いつも(3階正面)と比べてダンサー達の表情がとてもよく見えました。メインで踊る人達だけでなく、脇で立っているだけの人達の表情もいろいろと楽しめました。

明日はいよいよ最終日。どんな感じになるのかなー。

今日の主役はゲスト組。スヴェトラーナ・ザハロワとアンドレイ・ウヴァーロフでした(ニーナ・アナニアシヴィリは事情により降板)。初日はザハロワがローズ・アダージョで失敗したと聞いたので、きっと今日は気合いを入れてくるはず!と考えながら劇場入り。

ザハロワは昨年『眠り〜』で踊った時よりは調子を落としている感じ。バランスではふらつくことが多いし、回転でも軸ばぶれるのが多々あった。しかしそんな状態でも決めるところはしっかり決めるし、だんだんと調子を上げていったのはさすが。長い手足と柔軟な体、柔らかい所作など、ちゃんとオーロラらしく役作りをしていたのも好印象。文句ナシ、とは言えないですが、それでも一流の踊りを見せてくれたと思います。

ウヴァーロフは全体的にやや大人し目。新国の舞台のサイズがやや狭いというのもあるし、ザハロワが絶好調ではないのでそのサポートに専念していたようにも見えた。実際、二人で踊る場面ではすごく気を使っていたし。それでも要所要所の見せ場では、ダイナミックかつノーブルな踊りを披露。会場を沸かせていました。

リラの精は前田新奈。今まで何度も彼女の踊りは見ているのだけれど、今回の踊りは素晴らしい。確実な技術と、ゆったりと音楽に乗った優雅でおおらかな踊り、慈愛に満ちた守護者としての演技力など、文句のない出来でした。

青い鳥はマイレン・トレウバエフ。技術はあるけどちょっと地味な彼。でも今回はとっても優雅に美しく、華麗に踊っていました。普段は見えない"キラキラした感じ"も見受けられ、ちょっと一皮向けたかも、って思いました。
そしてなんといってもフロリナ王女で2年数ヶ月振りに登場の宮内真理子。登場のシーンでは会場から暖かい拍手が起きて、なんともいい雰囲気に。そして踊りはしっとりと落ち着きのある、品のあって奥ゆかしい。もっともっと見ていたかったです。

その他では猫の本島美和。昨年の公演で彼女の「猫演技」がツボにはまったんですが、それは健在。文字通り「猫の目のように」かわる表情が楽しめました(個人的にご贔屓にしてるっていうのもありますけどね)。G.バリノフ(長靴をはいた猫)とのコンビは息もピッタリ、最終日も楽しみです。
あと赤ずきんのさいとう美帆。彼女も表情の変化(ルンルン気分でおつかい→迷子で泣き出す→狼に狙われて怖がる)が面白い一人。狼にせまられて、怖がりながらキレイに手に持った花を落としていくところなんかは見ていてとても楽しい。

いつもは愚痴ることがおおいオーケストラ(東フィル)ですが、今回はとてもいい演奏を聴かせてくれています。この調子で最終日まで頑張ってください。

さて、明日は志賀三佐枝さんの日。先日今シーズンでの現役引退が急遽発表されたので、これが最後の全幕出演。見逃せません。

昨日の初日はギエム公演と重なっていたので見れませんでした。
そんなわけで2日目ですが、私にとっては初日。

主役オーロラ姫は昨年の『ライモンダ』で主役デビューした寺島ひろみ。その時はかなり緊張していたのが見ている側にもわかったけど、今回はリラックスできたのかかなり伸びやかで溌剌とした動きでした。表情も柔らかく、ラインも美しい。素晴らしいオーロラだったと思います。後で聞いたところによると「昨日はかなりブルーだったけど、今日は開き直った」んだそうだが、とにかくいい出来でした。

デジレ王子はおなじみのデニス・マトヴィエンコ。今日は特に調子が良いようで跳躍〜着地や回転がビシッと決まり気分爽快。本人も気持ち良さそうに見えました。サポートも安定していたし、こちらもいい出来でした。

リラの精は初役の川村真樹。どんな感じになるかな〜と思っていたのですが、長い手足による美しいラインと、控えめな表現ながら芯の通った踊りで存在感をアピール。こういうしっとりとしたリラもいいですね。今後の活躍に期待です。

他には青い鳥の吉本泰久が小さい体ながら高い跳躍で気を吐き、フロリナ王女の高橋有里は抜群の安定感、双子の姉・寺島まゆみの白い仔猫はコケティッシュで楽しめました。それから中島郁美の赤ずきんはとても可愛らしかったし、貝川鐵夫の狼も迫力が増していました。

明日は人気のザハロワ/ウヴァーロフ組。初日はあまり良くなかったらしいので、きっと気合いを入れてくるはず。期待大。

GWの第1日目、いきなり寝坊しました...(^^;
というかどうも「休日」というよりも「金曜」というイメージが強かったのか、夜公演だと思ってました。気付いた時には開演30分前。だけど会場の上野・東京文化会館までは1時間近くかかる...。というわけで最初の30分ほどは見ることができませんでした。
いやはや、思い込みって怖いですわ。。。

SWAN LAKE ballet

本日、公演最終日を迎えたマシュー・ボーン版『白鳥の湖(Swan Lake)』の公演に行ってきました。今回は初日に行っているのでそれから数えて2ヶ月振り。さすがに来日直後の初日と2ヶ月踊り続けた最終日では、メンバーの踊りの質が全然違う。また最終日ということもあって全体のテンション高目。みんな伸びやかだし、体に踊りが染みついている感じ。

ダンサーの引き際 ballet

先日、新国立劇場公式サイトにて、同バレエ団所属の志賀三佐枝さんが今シーズン限りで現役引退するというリリース(&それにともなう来期公演のキャスト変更)が発表されました。正直なところ、びっくりしました。まだまだ踊れる、あと3〜5年くらいは大丈夫、と思っていましたから。決して華のあるタイプではないものの、基本に忠実で重さを感じさせることなく、音楽に自然に乗って踊るダンサーで、作品世界をしっかりと安定させることのできる人だと思います。またその踊りは若手ダンサーにとっても見本となる貴重な存在だと思っていました。

ここ2〜3年、バレエ団の世代交代が進んでいて来期も何人かの人が去るというのは耳にしていました。そういった流れを見て、自分の今後の役割というものを見越して問題なく踊れる今こそが引き際だと感じたのでしょうか。本人にしかわからないことなので、推測するしかないのですが...。

とにかく、彼女の最後の古典全幕主演である5/2(月)の「眠れる森の美女」、しっかりと見届けたいと思います。

今週に入ってから急遽見に行くことになったシャンブルウエストの『ジゼル』(新国立劇場中劇場)。ここは今回初めて見たんだけど、役の解釈など結構面白かった。

ジゼル役は吉本真由美。新国立劇場で活躍している吉本泰久の妹さんだ。踊りは全体としてとても安定していた。バランスのところで少しふらついたりもしたけれど大きなミスはなし。演技面ではジゼルのキャラクターがとてもはっきりしていて、特に狂乱の場での表現は素晴らしかった。また機会があれば見てみたいダンサーである。

アルブレヒト役は急遽代役出演が決まった逸見智彦。相変わらず王子様キャラ全開、踊りは無難にまとめていた感じではあったが、ジゼルとしっかり心が通じ合っていたとは思う。以前よりちょっと痩せたかな?

個人的にいいと思ったのはヒラリオン役の井上欧輔。踊りはしっかりしているし、キャラクター造形も素晴らしかった。報われないヒラリオンというキャラの悲哀をよく表現できていたと思う。

客席には場所が場所だけに新国立劇場バレエ団のダンサーがちらほら。関係のあるダンサーやその仲間と言ったところかな。

さて、来週はシルヴィ・ギエム公演と新国立劇場バレエ団の『眠れる森の美女』。1週間で6公演というハードスケジュールです。でも楽しいから全然気にならないんだけどね〜。

先月末、新国立劇場バレエ団の公演『カルメン』を全3日間観に行ってきた。

同バレエ団のバレエマスター・石井潤振付による完全新作、観る前は期待と不安が入り混ざっていた。しかし初日の1幕目が終わった段階で。今回の公演は成功だと確信できた。もちろん100%満足というわけにはいかないが、舞台作品としての骨格がしっかりとしており、美術・衣装などもシンプルでいてとても印象的なものになっていた。

なによりもダンサー達が非常に良い出来だった。自分たちで新しい作品を作るという高い集中力が舞台全体から感じられ、そのため観客としても目が離せない熱気がそこにあった。